第12話 空腹!?ギャップ!?説得(?)です!
「あのドラゴンお腹が空いているみたいだね。僕たちの事、食べ物だって言ってるよ。」
僕とドラゴンとの距離が100m位になるように付かず離れずを保ちながらお母さんに伝える。僕的にはもう少し近づきたいのだが、お母さんが背中でめちゃくちゃ緊張しているのが伝わってくるのでこれ以上近づくのは今のところやめている。
「ちょこまかと、動かないで下さーーーーーーーーい!お願いですから、わたしに食べられて下さいよーーーーーー!!!!!」
いや、お腹が空いているのは分かるが、お願いされても食べられてあげる訳ないだろう…
それに先ほどから気になっているが、このドラゴンの口調がかなり丁寧な感じだ。ドラゴンのイメージとしては、もっと粗野な感じの口調だと思っていた。それだけにかなり意外に感じる。
「ふええぇぇぇぇぇぇん…遠くまで来て、せっかく見つけた食べ物なのに食べられないですーーー」
ドラゴンに近づくときに大きな木があって周りが草原になっている場所を見つけておいたので、ここに誘導しつつ飛んでいるとドラゴンから泣き言が聞こえてきた。
しかし、山の方から来たのになぜやっと見つけた等と言っているのだろうか?山にも麓に広がる森の中にもモンスターは沢山いるのだからそこで適当に見繕えばいいだろうに…
「お母さん、あそこの大きな木があって少し開けている場所に着地するね。たぶんドラゴンも一緒に降りてくるから、そしたら拘束して動けなくしちゃうね。」
「(ギュッ)分かったわ。本当に気を付けてね。駄目そうなら転移よ。忘れないで。」
お母さんに、地上に降りることを伝え大きな木がある場所を目指していく。いい感じの草原になっているので休憩もここならしやすそうだった。しかし、ここだけ少し開けているのはこの大きな木が周りの栄養を吸い取って他の木が育たなかったからだろうか?
ドラゴンを誘導するように先に着地し、襲い掛かってくるのを待つ。お母さんには、僕の後ろに居てもらい一応前に出ないようにお願いしておく。
まずは、突っ込んできたドラゴンの前に結界の壁を作る。
ドゴッ!
「いっ痛いですーーー!!!なんですかこれ!?結界ですか!?強度おかしいですよ~~~~」
結界にぶつかる鈍い音が響き、ドラゴンが痛そうに悲鳴をあげた。
痛そうに蹲っているドラゴンに、僕たちを殺しに来た暗殺者にも使った鎖“グレイプニル”を使って拘束した。これで動きは封じたが、一応魔法が使えるかもしれないので“マジックドレイン”でドラゴンの魔力を空にさせてもらった。
「えっ?えっ?えっ?なんですかこの鎖!?動けないです!えっ?それに魔力も…どんどん減って…なんでですか!??…アッ…ブルブルブルブル」
鎖に拘束され解こうとしてもびくともしない事に動揺し、魔力も吸われ無くなってしまった事で、今度は震え始めた。
もうこのドラゴンには何もできなくなったので、お母さんに話しかけながらドラゴンに近づいていく。
「ねっ?お母さん。大丈夫だったでしょ?もうこのドラゴンは、動けないし魔力もないから何もできないよ。不安だったら手を繋ごうか?」
おっかなびっくり僕について来るお母さんにそう言って手を差し出すと、ドラゴンの方を見ながら少し震えている手を重ねてきた。
「アインの言った通り、本当に大丈夫だったわね。ドラゴン1体で国が滅びかねないって言われているのに、信じられないわ。今もドラゴンが鎖を引き千切って、襲い掛かってくるんじゃないかって心配してしまうもの…」
「あはは、大丈夫だよ。この鎖は神すらも拘束できるっていう鎖だから。絶対にこのドラゴンには引き千切れないから。それでさ、このドラゴンをテイムして僕の従魔にしたいなって思っているんだけどいい?」
「………やっぱりテイムしたいのね。倒すのではなく拘束したからもしかしたらって思っていたけど…」
「うん。なんかこのドラゴン話し方も高圧的じゃないし、むしろ憎めない感じの話し方してるんだよね。僕たちを襲ってきたのも、暫く何も食べていなくてお腹が空いていただけみたいだしね。」
「う~~~ん。もしテイムするなら、ちゃんと私たちに危害を加えられないようにすること。アインがテイムしたドラゴンに食べられたなんて嫌だからね。そんなこと本当に考えたくないの。これを約束できるなら、アインのやりたいことを応援するわ。」
「絶対に、約束する。お母さんを悲しませることはしないよ。」
僕がお母さんを伴ってドラゴンへ近づいていくと、ドラゴンは震える心を押さえつけたか最後の抵抗を試みようとしている。素の身体能力だけで鎖を引き千切ろうと暴れ出し、牙を僕たちに向けて精一杯の威嚇を行っている。
「グルゥァーーー!グ、グルゥ!ゴガーーグァグァ!?グァーーーー!(こっちこないでくださーーーーい!!!いやです、こっちこないで!!!なんでわたしだけこんな目に合わなくちゃいけないんですか!??いやーーーーーー!)」
「ひっ」
ドラゴンに至近距離で吠えられ威嚇されたお母さんから、委縮し息を飲む音が聞こえてきた。
「大丈夫だよ。このドラゴンはこっちに来ないでって言っているだけだから。お母さんにも“言語理解”の魔法を掛けて言葉が分かるようにしてあげるね。僕たちの話を聞いてテイムしても大丈夫かどうか、自分の耳で確認してね。それと…このドラゴンには少し静かにしてもらおうか。」
そう言って、お母さんに“言語理解”を掛けてあげると、ドラゴンがただ泣き言を言っていただけだと知り、複雑そうな顔をしたのは少し面白かった。そうだよね…ドラゴンの野太い声で女の子の様な口調で泣き言を言っているだけだなんてイメージと全然合わないよね…でも、これからの話し合いをお母さんにも聞いて欲しいから仕方なかったんだよ…
「うるさい。少し静かにして。」
ドゴッ
「うっ………いったーーーーい!痛いです!やめてください!お願いします、助けてください!!!グズッ...お願いします!…もうやだぁ……グズッ...グズッ...」
身体強化を高めながら、ドラゴンにうるさいと言って顔にビンタをしてあげた。バチンという音じゃなくて、鈍い音がしたのは表面だけじゃなく内部にまでダメージがいったってことなのかな?
「静かにして、僕の話を聞いて。分かったら黙って首を縦に振って。分からないようなら何度でも叩くから。それでも、分からないようなら死ぬまで殴り続けるから。分かった?」
そう言うと、ドラゴンは勢いよく何度も首を縦に振ってきた。
「よかった。じゃあ君には2つの選択肢をあげるね。一つ目は、このまま死ぬまで僕と戦う。二つ目は、僕の“テイム”を受け入れて従魔になって僕たちについて来る。どっちがいい?ちなみに選択肢の詳しい説明をすると、一つ目を選んだ場合、今日の僕たちの昼食が君のおに…」
「従魔になります!ならせてください!だから殺さないでください!お願いします!」
僕が説明している言葉に被せながら、食い気味に従魔になる方を選んできた。
「君は“テイム”をされたら、僕達には悪意を持った怪我に繋がる行動が直接間接問わず一切できなくなるよ。だから、僕たちを殺して解放されるなんてことは不可能になるね。それと、今の体は大きすぎて街に行ったら目立ちすぎるから、僕が抱きかかえられるくらいにまで魔法で小さくさせてもらうよ。それでもいい?」
一応テイム後の説明もして最後の確認をする。ドラゴンとしてのプライド(このドラゴンにはあるか分からないが…)的に死んだほうがましと言うかもしれないからだ。僕も、いやいやテイムされてこれなら死んだほうがましだった、なんて思っている従魔なんて心情的にあまり一緒に居たくないからね。それと攻撃に関する事だが、全ての攻撃が駄目になってしまうと第三者からの攻撃から守るために体当たりをして射程からずらすといった行動もできなくなってしまうので、条件次第で軽い攻撃はできるようになっている。
それでも、このドラゴンは全力で首を縦に振り続けるので“テイム”を発動させた。これで、相手が了承すれば晴れてテイムの成功となる。
本当に大丈夫かなと思っていたら、ドラゴンは一瞬で了承してあっという間に僕の従魔になった。
「これで“テイム”が成立したね。それじゃあ、次は体を小さくしようか。」
そう言って頭から尻尾の先までの体長が60㎝位になるまで“縮小”を掛けた。
拘束から解放して抱き上げる。
「お母さん、これでこの子は僕の従魔になったよ。それで名前つけたいんだけど、いい名前ある?」
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