不穏
ジークの村に近い山。その深い森の奥の奥。人間など誰も立ち寄ることのない場所で、ある獣が数百年の眠りから目覚めた。それは今も偶に現れる魔獣と呼ばれる生物。魔獣は起きている間ある一つのことに苛まれ続ける。それは飢餓感。
鹿を、狼を、熊を喰った。だがまだ足りない。腹が鳴って仕方がない。腹の虫が治まらない。
空腹による怒りで木や岩を破壊しながら次の獲物を捜し歩いていると、ふと気が付く。
本当に微かな匂い、嗅いだことのある匂いだ。なんだったか……そうだ。眠りにつく前よく食べた生き物の匂いだ。あの生き物は良かった、体はあまり大きくないが魔力の量が多い。それに一匹いたら近くに何十匹もいる。小さい奴は柔らかくて味もうまい。
魔獣は味を思い出すとまた腹が減り、怒りが募る。
行かなくては。あれをもう一度喰べなくては。
根源的な欲求が魔獣の体を突き動かす。そして魔獣は、あの生き物の匂いのする方へ足を進めるのだった……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます