従者を探しに
「すいません、クエストの報告になります」
「お疲れ様です。では、サイクロプスの素材の受け渡しをお願いします」
アイテム袋に入っていたサイクロプスの素材を渡す。2~3個ほどだと思っていた受付嬢は、その数に驚いている。まぁ、異常な数だもんな。
「サイクロプスの討伐とは聞いてたけど、まさかここまでの数とは思わなかったわ」
1階が騒がしいからと2階のギルドマスター室からオーレリアさんが下りてきた。お騒がして申し訳ありません。
「オーレリアさん。いやー、集団でいるとは思ってもいなかったですよ」
「集団? まさか! サイクロプスヘッドに遭遇したんじゃないでしょうね!」
「よくご存知で。正直、終わったかと思ったんですが、スカーレットが覚醒したのもあって倒せましたよ」
「サイクロプスヘッドを・・・嘘でしょ」
「あーやっぱりSランクの魔物を倒すのって相当だったんですかね」
「相当どころじゃないわよ! サイクロプスヘッドは魔王軍の中でも上位の魔物になるのよ。それを倒すなんて異常なことよ」
「そんなにだったんですね・・・」
「サイクロプスヘッドも買い取りたいけど、さすがにギルドの金貨が足りないわ。サイクロプスだけ買い取らせて貰うわね」
「あー・・・そもそもサイクロプスヘッドの素材ないんですよね」
「素材がない?」
「はい。スカーレットの魔法でサイクロプスヘッドが蒸発して消えちゃいました」
「は!? 魔法耐性があるサイクロプスヘッドが魔法で蒸発!? もう何もかも規格外だわ」
フラフラとしながらオーレリアさんはギルドマスターの部屋へと戻っていってしまった。
「やっぱりよほどのことだったんだな」
「主様、妾達と一緒にいて感覚がおかしくなっているかもですが、オーレリアさんの反応が普通です」
そういうもんかって納得しつつサイクロプスの清算を待つ。何十体にもなるサイクロプスの状態を確認しつつなので時間掛かるよな。
何人ものギルド職員が総出になって2時間ほどで終わった。
「すいませんお待たせしました。サイクロプスがトータルで56体になります。まずこちらの金貨100枚がクエストクリアの報酬になります。
そして、こちらの金貨2,500枚がサイクロプスの買取となります」
「ぶっ! 金貨2,600枚!?」
「はい。これだけの数になるのでこれぐらいになりますね」
「凄い買取になったな」
これでマイホーム購入に一歩近づいたと思えばいいか。しかし、これだけの金貨になると持ち運びが困るな。日本円にして2億円オーバーだもんな。
「でしたら、商業ギルドに行かれてはいかがでしょう」
「商業ギルドですか?」
「はい。商業ギルドではお金も預かってくれますよ」
「銀行みたいなものか。けど、本人確認とかどうするんです?」
「ギルドカード登録時に魔力の波長も登録されるので、ギルドカードの偽証なども出来ないようになっております」
「そんな凄い技術が」
「過去の発明王に感謝ですね。ちなみに冒険者ギルドのカードも同じ仕組みになってますよ」
魔力の波長なんてものもあるのか。この世界には知らないことが多いなって思いながら歩いていると目的の商業ギルドへと到着した。
「すいません。金貨を預けたいのですが」
「分かりました。ギルドカードはお持ちですか?」
「いえ、持っていないので登録からお願いします」
「はい。では、こちらの用紙に記入をお願いします」
渡された用紙の必要部分を全て記入し終えて受付の人に渡す。そして、手慣れた作業で全てを終えるとギルドカードが渡された。
「最後にこのギルドカードの商紋の部分に親指を当てて魔力を込めて下さい」
ギルドカードの右部分にある模様の真ん中に空白があり、そこに親指を当てて魔力を込めた。すると、ギルドカードが一瞬だけ光る。
「これで登録完了です。グレンさんですね。冒険者ギルドがAランクは凄いですね! たくさん稼いでお金を預けて下さいね!」
何とも商魂たくましい人だ。そうして、手持ちの金貨2,600枚を預ける。アイテム袋に入れておくのは危険だったからな。これで安心だ。
「んじゃ、北の山まで行くか。遠いけど、俺たちが全力で走れば今日中に行って帰って来れるだろ」
「妾やスカーレットちゃんのAGIは高いのですが、主様は大丈夫ですか?」
「倍以上の差があったからそう思っただろうが、何と! この前のサイクロプスとの戦いでレベルが一気に50にまで上がったおかげでAGIの値が5000を超えたのだ!」
「妾とスカーレットちゃんもレベルが上がって、更に主様もレベルが上がったことでステータス値が一気に跳ね上がったんですね。それにしても、マスターサーバントのスキル効果は異常ですね」
「確かにな。俺の強さだけじゃなくてみんなの強さが反映されるってだけで強い。さて、一気に走るぞ」
時刻はまだ昼前。街の北門を出たら3人で走り出す。やはり俺の方が2人よりもAGI値が低いから置いてかれるな。2人はそれを考慮して速度を調整してくれた。森を何事も無く抜けて山のふもとへと到着する。
「やっぱり2人には敵わないな」
「妾達はAGI値が9000近くにまで上昇したので仕方ないですよ」
「グレンお兄ちゃんも速くなってるから凄いよ」
「ありがとうな~。さて、北の山に着いたが・・・どこにいるんだろうな」
「私、分かるかも」
「え? スカーレット? 感知スキルなんてこの世界にあるのか?」
「感知スキルというのは聞いたことがありませんね」
「スカーレット、案内してくれるか?」
「分かった! 多分こっちだと思う」
スカーレットのステータスを確認してみる。そういえば、サイクロプスとの戦いの後に自分のは確認したが、2人のは確認していなかったな。
【名前】 :スカーレット
【種族】:竜種
【レベル 】 :20→35
【HP】:4630→7135
【MP】:5756→6854
【STR】:6280→9894
【VIT】:7832→10658
【INT】:5420→7812
【AGI】:6823→9548
【スキル】:マスターへの寵愛、蒼炎、スーパーノヴァ、真なる竜の子、感知
感知スキル持ってるな。それにステータス値が化け物みたいに上がってる。あと、この真なる竜の子ってスキルなんだろうか。炎の竜が発していた言葉で真なる竜の子とか言ってた気がするな。
【名前】 :ラピス
【種族】:吸血種
【レベル 】 :16→28
【HP】:2650→4350
【MP】:6395→9683
【STR】:1642→2465
【VIT】:3457→5784
【INT】:7265→11354
【AGI】:5642→8876
【スキル】:マスターへの寵愛、真祖の力、四元素の英知、精霊術、サポートヒーリング
「ラピスも凄いステータスが伸びてるな。あと、スキルもいろいろと増えてる」
「はい。妾が新しく追加されたスキルは魔法とは違った精霊術とサポートとヒーリングの魔法です」
「サポートヒーリングってのは何となく分かるが、精霊術ってのは何なんだ?」
「世界には四元素以外にも精霊は存在しており、それらを使役することが出来るのです。それが精霊術です。世界でも使える存在はかなり限定的ですね」
「なるほどな」
「グレンお兄ちゃん、目的地に到着したよ」
「ありがとう」
スカーレットの案内で進んでいると、洞窟の入り口に到着した。ここまで近付けば、俺でもここにいる存在の魔力を感知出来るな。にしても、ボスとして対峙した時のラピス以上の圧を感じる魔力とかここにいる存在はどんなやつなんだ?
「主様、とりあえず灯りを洞窟内に灯しますね」
「え? 私の火で一気に炙り出さないの?」
「それをやったら殺しちゃう可能性があるだろ? ラピス頼んだ」
ラピスの魔法で洞窟内が見えるようになる。結構奥まで続いているようで、慎重に進んで行く。どんな存在がこの先にいるのか分からないからな。
俺の従者となる存在とは言っていたが・・・。
「グレンお兄ちゃん、あそこ」
「ああ、俺も魔力を凄い感じてる。あれが俺の従者候補か。額に折れた角?」
巫女服の服装をし、腰には刀を携えている女性。サクラのようなピンクの髪色が際立っている。だが、何よりも特徴的なのは額の折れた角だ。あの魔物も訳ありって感じか。にしても、俺の従者候補は何でこうも女性ばっかなんだよ。
まぁ、綺麗な女性ばかりが増えるのはとても喜ばしいことだけど。あの魔物も見た目はとても端整な顔立ちで誰が見ても綺麗な女性だ。
「まさか、あの種族が従者候補とは」
「知ってるのか?」
「はい。従者になるかは怪しいかもしれませんね」
「どういうことだ?」
「あの者の種族は鬼種です。戦闘が好みと種族となっており、戦闘狂なのです」
「あー・・・厄介だな。しかし、ここに住みつかれても困るな。山のふもとからこの洞窟が近かったから、冒険者とかが遭遇したら無事では済まないだろうし」
「ですね。鬼種は戦闘能力の高さからSランクになる魔物ですからね」
「さっきからそこにいるのは誰!? コソコソしてないで出てきなさい!」
バレてたのか。隠れてても仕方が無いし姿を見せるか。
「そんなに警戒しないでくれ」
「警戒するなって言う方が無理でしょ?」
「それもそうか」
「何の用?」
「実は君がここに居座られると困るんだよ。ここは人間の国が遠くないから人間と争いになる可能性がある。君も人間と争うのは嫌だろ?」
「・・・1人では戦っても負けるだけね。要望はここから出て行けってこと?」
「そうしてくれると助かる」
「けど、私はここから出て行ったら生きていく場所が無い。あなたが何とかしてくれるってことでいいのかしら?」
「凄い我がままだな。うーん・・・ちょうどいいし俺の従者になるか?」
「いいわよなってあげる」
「断るのも分かる。だけど君の―――え? 即決でいいの?」
「いいって言ってるじゃない。どっちにしろここにいても困ってたし居場所も無かったしね。あと、私が逆らったら後ろにいる竜種と吸血種が何をしてくるか分からないし・・・。というか、その2人はあなたの何なの?」
「俺の従者だけど」
「竜種と吸血種が従者ってあなた何者なのよ・・・。これ以上は逆らわないから2人とも睨まないでよ。怖いじゃない」
「俺は勇者だよ。2人もそう邪険にしないように」
「へぇ~勇者なんだ! 勇者!?」
「そうだよ。それじゃ、契約するぞ」
『マスターサーバントのスキルを発動しました。主従関係を結ぶ相手は、サクラの鬼種でよろしいでしょうか? YES/NO』
YESだ。こうしてあっさりと山に巣くっていた魔物を従者にすることが出来た。今までの2人が異常なだけで、普通はこんな感じで従者を増やしていくんだろうな。
何はともあれ鬼まで仲間になったからパーティメンバーが凄いことになったな。
【名前】 :サクラ
【種族】:鬼種
【レベル 】 :25
【HP】:9783
【MP】:2546
【STR】:4568
【VIT】:8756
【INT】:1369
【AGI】:6878
【スキル】:鬼の覚醒、絶対なる守護者、バーサーカー、
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