失恋から4日目

 気分転換をするのがいいと思うものの、ついつい雅彦のSNSをチェックしてしまう。


 そこに“彼女“らしき人のコメントを発見したので、ホームを見てみた。昨夜は“彼氏“と過ごしたとある。


 アップされた写真は私と雅彦が行ったバー! 怒りが込み上げてくる。


〈奇遇ですね! 私も先日そのバーに行ったんですよ〉


 と書きたくなる気持ちをおさえる。ケンカをふっかけてどうする。勝ち目はないし、ますます惨めになるだけだ。


 もう少しだけ、“彼女“の投稿を見てみることにする。なるほど、イギリスに語学留学していたのか。


 9時間の時差も気にせず、雅彦と頻繁に連絡をとっていたと。いつも雅彦の返事が早かったのは、単に彼がマメな性格だったからか。


 考えてみると、雅彦はグループ内で女性からも男性からも人気だった。おそらく誰に対しても平等に接していたからだろう。


 つまり私は彼にとって「特別な存在」ではなかったのだ。なんとも悲しいし情けない。


 私は雅彦に一度だけさりげなく「好き」と言ったことがある。彼の返事は「ありがとう」だった。


 思い返してみると、私は雅彦から一度も「好き」と言われたことがない。


 男の人ってそういうものだと思ってた。元カレに告白ったときも「じゃあ付き合おう」と言われただけで、好きと返されたわけじゃない。だからそんなものだと思ってた。


 ……好きって言われたかったなあ。

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