第14話 お先にどうぞ
・「お先にどうぞ」 (2012年)
サラリーマンの大石壮(演:濱田岳)が実在の店に行き、誰かと一緒にメシを食べる。
たとえば、恋人の実家に初めて行き、両親と会い、父親から
「近所の喫茶店で美味しいカツカレーがあるんだ」
と誘われ、共に赴いて食べることになる。
「カツとカレーとライス、その3つの食べ方で、その人の人生が見えてくるんだ」とカツカレーに対して妙な蘊蓄を語る彼女の父親。
そんな人の前で、カツカレーを食べるマナーは絶対に失敗してはならない!
主人公は何かの理由で「同席した人の前で完璧なマナー通りに食べなければならない」状況に陥り、困惑していると、偶然にも近くの席に座っていた人の食べ方が目に入り、そこでヒントをもらって窮地を脱する、というのがパターン。
出方を見るために、一緒に食べている連れに「お先にどうぞ」と促すのがタイトルの由来。(タイトルだけだと、まずグルメドラマだって分かんない)
毎回ワンテーマで「一番美味しく食べる手順、方法」を探るグルメドラマ。
他のグルメドラマと違うのは、味など食レポ要素は薄く、あくまで「完璧な作法、完璧な手順で食べる」というニュアンスだろうか。
濱田岳のあたふたする芝居が面白く、見ているこちらまで緊張してくる。
自分だったら、こんな状況で食事しても、キンチョーしすぎて味なんて全然わからないよなあ、とか思っちゃう。
メニューは、カツカレー、冷やし中華、シウマイ弁当、回転寿司、牛丼、焼肉……。
全6回で、スペシャルドラマ版もあり。
面白いのは、主人公の設定が毎回変わること。
ある時はサラリーマンだし、ある時は銀行員だし、ある時は喫茶店のマスターだったり……完全なる「一話完結」のオムニバスドラマで、同名の主人公という共通項だけ。パラレルワールドなのかもしれない。
「美味しい食べ方を追求する。それは時空を越えて挑み続けてきた人類最高の冒険に他ならない。」
とドラマを企画した放送作家・小山薫堂氏の言葉で締め括られる。
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