七星物語 ~Seven Tales~

@hiyamiutai846

第一の星『天枢』

七星物語セブン・テイルズ、第一の星『天枢ドゥペー


〜少年が死神になった理由〜

深い夜、星がきらめく空の下。手に持つのは、彼が必死に集めた薬草の入った布袋。

彼は、この世界の暗闇を打ち破る唯一の光。

星の輝きが彼の背中をそっと押し、夜の闇に希望を灯す。


〜本編〜


レオ「母さん!今日はいい物を持ってきたんだ!山で見つけた、いろんな薬草!ドア、開けてもいい…?」

母「げほっ…レオっ…!入ってきてはダメ…!!そこに…置くだけでいいわ…」


レオ「でも…」

母「あなたにまで…これを移したくないの…」


レオ「母さん…」

母「聞いて…レオ…お母さんは、もう長くないわ…」


レオ「そんなことない…!!今日だって医者に薬を作ってくれって頼んだんだ…!!薬さえ出来れば…」

母「…っ!!馬鹿なことはやめなさいと何度も言ったでしょう…!?」


レオ「どうして…!母さんは死ぬのが怖くないの…!?」

母「怖いわよ…すっごく。あなたを置いて先に逝くなんて、怖くてたまらない…」


レオ「じゃあなんで…!?なんで諦めるの…?」

母「でもね…世の中は不条理なまでに変化を拒むのよ…。きっと、それは何があっても変わらない…」


レオ「なら、僕が変えて見せる…!こんな世の中…絶対に間違ってる…!!」

母「だめよ…!あなたには、平穏な生を送ってほしい…。それが私たちにとって、何よりの願いなの…」


レオ「母さん、僕は強いよ…!どんな困難だって乗り越えられる!」

母「レオ…。ほんと…その頑固さはお父さん譲りね…。一度決めたら、すぐ周りが見えなくなっちゃう…」


レオ「このまま何もしないなんて…耐えられないんだよ…」

母「あなたの気持ちはわかるわ。あなたの強さも信じてる…。だけどね、人は限界があるのよ…たとえどんなに強くても…」


レオ「僕には限界なんてない!母さんを助けるためなら、どんなことだってする!この世界を変えて、みんなが幸せに暮らせるように…」

母「その気持ちは、とても尊いわ…。でも…覚えておいて。力には、時に人を狂わせてしまう。どんなに純粋な願いを持っていてもね…」


レオ「母さんは僕を信じてないの…?」

母「違うの…。お母さんは、あなたが傷つくのが怖いのよ。私の願いは、ただひとつ…あなたが穏やかな生を送ること。それが…」


レオ「母さん…。もし僕がこのまま、ただ見ているだけだったら、何も変わらない!この苦しみが、他の誰かにも…!そんなの耐えられないよ!」

母「レオ…。うっ…げほっげほっ…ごほっ…!」


レオ「母さん…!?」

母「ごめんね…お母さんはもう力になれない…けれど、あなたなら…きっと…。愛して…いるわ…レオ……」


レオ「母さん…!!大丈夫…!?母さん!返事をして…!!ねぇ…!!」

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