ヤッヴァ俺TUEEEE!!人嫌いの異世界ゲーム攻略譚~ハズレスキル『思考力』で着実に強くなる~
空澄叶人
プロローグ
「俺はまだ童貞なのに……」
老衰で亡くなる間際、シュウジはそんな間抜けな言葉を残した。享年83歳。独身である。
彼は人間が嫌いだった。だから妻も子供もいなかった。
人嫌いの理由は、幼い頃からの厳しい家庭環境が原因である。親兄弟にひどくいじめられて育ったのだ。
それでも何とか寿命を全うできたのは真面目に働いたからと言うほかない。とは言っても未練の多い人生であった。せめて若い頃、風俗店に行けば良かったものである。
彼の魂は、体から離れてふわふわと浮き上がる。病院の天井を透き通って、上へ上へと向かって行った。
……そうか。
……俺は天国へ行けるみたいだ。
天国と言えば上にある。地獄と言えば下にある。そんな安直な考えを抱きつつ、シュウジの魂は幸せの波動を放っていた。
やがて地球から離れて宇宙にたどり着いた。そこで待っていたのは、一人の女神である。女神は白い
女神はシュウジの魂に語りかけた。
「ようこそ、シュウジ。よくぞ地球での修行を全うしました。これで貴方は一ランク上の世界へと転生することができます」
「天国ですか?」シュウジは嬉々として聞いた。
「いえ違います」首を振る女神。
「え? 天国へ行けるんじゃないんですか?」
「シュウジよ。天国へ行くには、次の世界でまた修行をして、それに打ち勝ったなら、行くことができます」女神はニッコリと微笑む。
「そうですか……」
シュウジの魂は落胆を隠せなかった。これからは天国で楽な思いができると思っていたのに。当てがはずれた。
彼は女神に尋ねた。
「次はどんな世界なんですか?」
「次の世界は【ゲーム界】です」
「【ゲーム界】ですか?」
「はい。シュウジよ。貴方に選択権を差し上げます。【ゲーム界】で『勇者』として生きるか、『住人』として生きるかです。どちらになさいますか?」
「質問があります。『勇者』と『住人』の違いを教えてください」
「『勇者』とはその名の通り、モンスターと戦い、自分のレベルを上げて強くなって、魔王を倒す者たちのことを指します。『住人』とは、道具屋や武器屋、宿屋などで、死ぬまで商売をしながら生きる者のことを指します」
「『勇者』でお願いします」
シュウジは即決した。地球では社畜であり、嫌というほど労働をさせられてきたのだ。ゲームの世界に行ってまで、働きたくなかった。
……どうせならゲームを思う存分に遊んでやる。
女神は
「分かりました。『勇者』ですね。では転生をさせます。シュウジ、貴方の名前は前世と同じになります。そして転生後の名字はありません。最後に一つ。貴方にユニークスキルを授けます。『思考力』というものです。受け取りなさい」
「ありがとうございます」
名前なんて何でも良かった。シュウジのままで別に問題はない。
『思考力』がどんなものであるかは分からなかった。しかし素直に受け取ることにする。他のスキルを知らないので、善し悪しの比較のしようが無かった。
****『思考力』がハズレスキルだと知ることも無く****
シュウジの魂が淡い燐光に包まれて消えた。転生したのだ。そして彼は新しい村の地面に降り立つ。
最初の村の名前は、ミッドベルと言った。
◇◇◇
名前 シュウジ
レベル 1
HP 100
攻撃力 3
防御力 3
素早さ 3
魔攻 1
魔防 3
運 0
ステータスポイント 0
アクティブスキル 『ウインドアサルト』
パッシブスキル 無し
セットスキル 無し
ユニークスキル 『思考力』
スキン 平民服セット
◇◇◇
◆◆◆
作者はこの小説で、本気でプロを目指しております。恐れ入りますが、次のエピソードも読んでやっていただけないでしょうか? よろしくお願いいたします。
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