【完結】親友たちとエロゲ世界へ転生~原作ミリしらの俺がヒロインたちをモノにするらしい
ヤニ―
第1話「転生、いつもの風景」
満開だった桜もすっかり無くなり、新緑が並び立つ並木道。
何も変わらないであろういつもの日常。
自身が通う学び舎へと足を踏み入れ、見知った顔を見かければ「おはよう」とあいさつを交わす。
特別変なことでもなく普段通りの光景だ。
歩を進め過ぎ去っていく生徒たちは自身の髪色より妙に明るい、それも一人や二人じゃないくらいに存在しており、むしろそれが当たり前であるくらい。
教室へとたどり着きいつもの友人二人へと声をかける。
「おはようさん」
「うぃーっす、今日はサボらず来たな」
「昨日担任に怒られたばっかだしな」
「それでもサボるのがウサでしょ?」
「まぁな、めんどくなったら適当に抜けるわ」
「かーっ、懲りねぇなウサちゃんは」
「ウサちゃん言うなし」
談笑をしながらカバンを降ろし、辺りを見回す。
黒髪はもちろん一定数いるが、青髪や金髪等と
「キョロキョロしてどうしたの?」
「いや、異世界に来たんだなぁってな」
「はは、何今更言ってんの」
「もう一年は経ったのか、あっという間だな」
友人の言った通りこの世界にきて既に一年は経過している。
今更感傷に浸るようなことでもなく未練を残してたわけではないが、ふと転生したあの日のことを思い出したのだった……。
――
「ア"ァ"--ッ、クソがぁーッ!」
突然発狂しだした友人にびっくりして俺は後ろを振り返る、こいつが発狂するのは何時ものことではあるが何故唐突であるためびっくりはする。
そして突然だが自己紹介だ、俺の名前は”
「急にどうしたんだよ」
全く心配した素振りもなく、なんだったら心底めんどくさそうに声をかけたのは、隣で俺と同じくゲームをしている”
好きな女性は年上に限り、仕事でボロボロに疲れ切った姿が最高に興奮すると豪語しているイカれた男だ。
「ヒロシが騒ぐのはいつものことじゃん」
リビングからジュースを持ってやってきたのは”
見た目は美少女のようで女の子の格好をしているがれっきとした男だ。女装が趣味な変態である。お願いだからそれ以外の意味は無いでほしい。
「ハァッ、……ハァッ」
最後に息を切らしている男が先程発狂したヒロシ。
ヒロシはヒロシ、以上。
「さっきからお前がやってるそれエロゲだろ。絶賛セックス真っ最中だけど、どこに発狂するポイントがあるんだよ」
「とりあえず音切れよ、喘ぎ声がうっせぇよ」
「ヒロシがエロゲを爆音でやるのはいつものことだけどね」
俺らの指摘に耳も貸さずに立ち尽くしているヒロシ、その傍らには延々と喘ぎ声が鳴り続けているエロゲ。
エロゲの画面は赤い髪の女の子が後背位で突かれているシーンである。アニメモーションもついておりクオリティが高い。
「主人公がクソ……」
「うん」
「ヒロインが可哀そう……」
「おう」
「でも……いっぱい出た」
「早く手洗ってきなよ」
なんでこいつは発狂しながら射精してんだよ。
ヒロシはスタスタと部屋から消えていった。多分手を洗ってくるのだろう。
なんともいえない空気に一瞬なり、今も喘ぎ声が部屋中に響いている。
まぁこんなことはいつものことなので俺たちは気にせずゲームを再開したのだった。
――
「じゃあまた明日な」
「おう学校サボんなよ」
「ソーマは遅刻しないようにね」
ソーマ、ユーリと別れ帰路へと着く。
先ほどまで俺たちはヒロシの家へ集まっており、そこから帰宅途中ということである。
休日が終われば学校でまた友人たちと会い、休日はヒロシの家で集まって過ごす。これが俺たちのいつもの日常だ。
ちなみにヒロシは学校に来ない、引き籠りだからだ。
いつもと変わらない日常、家へと着き適当な時間になったら就寝し明日を迎える。
――そのはずだった。
――
「はぁー、間違って死んでしまったねぇ……」
布団に入ってスヤスヤ眠りについたと思ったら、気づけば真っ白な世界に立っていた。
しかもそこには俺だけでなくソーマにユーリ、ヒロシまでもがいた。
そこに現れた女神様曰く、今日この瞬間に四人の男子が命尽きるはずだったという話だが間違ってそれが俺らになってしまったらしい。
いやどんだけー。
ちなみに生き延びた四人は約束された将来を迎えるらしい、そして本来それは俺らだったと。
いやマジでどんだけー。
これだけ聞くと俺らがただ運の悪い男たちとなるのだが、間違って死なせてしまったお詫びとして転生する権利をくれるそうだ。しかも色々と要望も叶えてくれるらしい。
いきなり言われてもな、どうしたものやらと考えてるとヒロシが珍しく前に出た。
「どしたん?」
「おれが決めたい」
「へぇー、ヒロシにしては珍しく乗り気じゃん」
「まぁヒロシが決めるでいいかもね」
「そうだな、んじゃヒロシ任せたよ」
「おう」
ということでヒロシが女神様と話し込む、内容はよく聞こえないがヒロシが決めたなら悪いことにならないだろうと楽観視して、俺たちは『転生先ってどんなんだろなー』と呑気に喋っているのだった。
ヒロシは引き籠りで口数が少ないけど、十数年以上一緒にいる親友だ。
きっと転生先でも俺たちが一緒に過ごせるような形へ持っていけるだろうと信頼をしている。
そして話し合いが済んだのだろう。女神様とヒロシがこっちへやってきていよいよ転生するときた。
女神様が杖を振ると俺たちの体は真っ白な光に包まれ意識を落としたのだった。
――
「結局何も変わらなかったしな」
転生先は死ぬ前と同じ高校1年生、顔や名前も一緒でほんとに転生したのかもわからないくらいだった。
せいぜい違うのは最初に語ったようにカラフルな髪色が多く、アニメっぽいような雰囲気があることだろう。
この辺はきっとオタクなヒロシの要望が入ってそうだ。
あとヒロシの家がすんげぇでかくなってた。ちゃっかり自分の引き籠りライフをより堪能しようとしている。
けど前以上に俺らが入り浸りやすくなったのでありがたいことではある。
そんなこんなで今までと同じように過ごし早1年。
高校2年へと上がった今も昔と何も変わらない。
――いや、変わったことはあったな。
それは
「もう! 白のせいで遅刻するかと思ったじゃない!」
「ごめんよ朱奈、うっかり二度寝しちゃったんだよ……」
「なにが『もう起きるから~』『目覚めたから~」よっ、しっかりしてよ!」
「ごめんってば……」
思考を中断させ声のする方へ目を向ける。そこには一組の男女が教室へやってきていた。
女の子のほうは赤髪ツインテールで、ツンとした雰囲気が感じられる。まぁ普段は真面目な優等生で誰に対しても普通に喋るから、厳しいのは隣の彼限定になる。
一方の男のほうは気弱な感じで、前髪で目が少し隠れておりやや陰気質な男子だ。
その二人に俺は声をかける。
「おはようさん、今日も夫婦揃って仲良いな」
「帝くん、そんなんじゃないってば」
「そうか? いつも一緒にいるからそう見えるぜ。なぁ無地来」
「ぼ、僕と朱奈はただの幼馴染だからさ……」
幼馴染だから、といった言葉にやや影を落とす女の子の名前は
そして男子のほうは
いかにもラブコメでよくある女の子が幼馴染の男に片思い状態ってのをよく表している。
炎珠は無地来に対して好意ありに見えるが、無地来のほうは全く気付いていない。
なんともじれったい二人である。
「お、おはよう氷音さん」
「ん、おはよう」
席に向かうためその場を離れた炎珠と無地来。
炎珠は真ん中一番前、無地来は窓際後方という最高の席に向かい、前の席の女子へ挨拶をする。
ちなみに俺たちは真ん中列の最後方を陣取っている。
挨拶を受けた彼女の名は
あと何よりもおっぱいがでかい。
比べるのは失礼なんだが炎珠はスレンダーで胸の大きさは計測せずともAであるのは確定だろう。
それに対し、氷音は見ないほうが失礼といったぐらいデカい、あそこには男の夢が詰まっている。
挨拶をした無地来は氷音に気があるような素振りを出している。
目線がいつも胸に行ってるのはバレバレだが。
氷音から返事をもらって嬉しかったのか彼はヘラヘラしている。しかしそれを見た炎珠はフンと拗ねており、氷音は無関心といった感じでまさにラブコメ的三角関係である。
「……ん」
「お?」
一連のやりとりを観察していた俺の視線に気づいたのか、氷音は薄い笑みを浮かべて俺に手をスッと振ってきた。
無視するものでもないので俺も手を振り返す。
「おいウサちゃん」
ソーマが耳打ちするように声をかけてくる。
つーか、ウサちゃん止めろっていつも言ってんだろ!
「お前あの二人落とすんだろ、イケんのか?」
「あぁ、それな」
先程思考を中断したが、この世界はどうやらヒロシがプレイしていたエロゲの世界らしい。
なんと俺たち四人はヒロシの要望によってエロゲ世界へと転生を果たしてしまったのだった。
――
〇作者からの宣伝
『男女比のおかしな世界 ~人に優しい男が転生しモテる人生~』も投稿しています。
どちらも☆、♡、感想をお待ちしています!
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