第35話 適応
「情報と違うぞ!どうなっている!」
一人の男が叫ぶ。あぁ、五月蠅い。五月蠅い。
「邪魔」
動かない
「面倒くせぇ…全員死んどけや。」
無理矢理死神の能力を引き出す。抽選が始まり、数字が出る。
「はは…今回ばかりは運が味方したみてぇだな。」
咄嗟に耳を塞ぐ。その瞬間、周りが大爆発する。
「ほんと。ツイてないな。地雷草が僕のときだけ不発で、お前らの時は暴発なんてな。」
興奮が抑えきれずに嗤う。おっと…まだ一人生き残ってたか。
「大人しく死んどけば楽だったのにな。態々苦しむことも無かったのに。」
鎌の先端を差し込み、抜く。その途端、ダメージ音が響き、赤色に染まっているHPバーが更に濃さを増す。
「安心しな。君は死なない。永久な痛みには悩まされるけどな。」
絶望した顔を見て更に嗤う。あぁ…愉快だ。
※
ヌンチャクを振るい、敵の斬撃を躱しながら致命的なダメージを与える。相手をふっ飛ばし、後ろの奴らもまとめて谷底に落とす。よし。こっちはもう終わったな。
先程の医務室で貯蔵庫から貰った(奪った)回復ポーションを飲み、HPゲージを全回復させる。中級でも50は回復するから有り難い。
愛瑠は…まぁ、大丈夫か。なんとか持ちこたえているみたいだし。
普通に僕たちは可怪しい。ゲームとはいえ、相手を殺すには抵抗があるはずだ。なのに自己防衛とはいえ、相手を殺せるのは高校生にしては流石だと思う。
まぁ、僕は昔、色々あったけど…
「終わったわよ。なんかクセが強い相手だったけど。」
「無傷か。流石だな。まぁ、そんだけの足の速さがあればな…」
「三人だけだったしね。そっちは三十五人相手してるとか異常な
言葉を遮るように爆発の音が想像を絶する音で響く。
一瞬、光と音で意識が持ってかれそうになったが、舌を噛み、なんとか意識を保つ。酷い耳鳴りがするが、鼓膜が破れる程ではなかった。
「あああっ…痛い…」
愛瑠が耳から血を流す。あ…獣人は聴力が発達しているから、被害が出たのか。
「大丈夫か!?クソ…まだ【全快】のスキルが溜まってねぇ…」
気絶した愛瑠を抱える。そういえば、あっちには快が行っていたはず…
巻き添えになっていないかを確認するため、体を向ける。
「……やっべ……」
快は無事だった。だが、明らかに可怪しい。服装が違う。だが、あの服装は見たことがある。あれは…
「同化…しやがったのか?でも…徐々に体を蝕んでいくはずなんだが…」
ちょうど、愛瑠が起きる。だが、鼓膜はやられているらしく、彼女が話す言葉もどこか辿々しい。
「なんれ、こうなっれるの?かいがおかしぃし」
「なぁ、鎌見えるか?かま。」
快が見えるのなら鎌も見えるだろうと、口の動きが分かるようにゆっくりと話す。すると、察してくれたのか、それに答える。
「かま…?なんのへんれつもないけお…」
「え?魂が書いたりしてない…?」
「へ…?いっさぃかいてないへど…」
どういうことだ…?だが、愛瑠が見えないほど僅かしか残っていない可能性があるため、スキルを奪おうとする。一旦快の体の中に居たからスキルを譲渡したり、奪ったりしたりすることが可能なのだ。
死神を選択して取ろうとする。だが、
「拒否…だと…?もしかして、あいつ…」
適応しやがった…?
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