第35話 適応

「情報と違うぞ!どうなっている!」

一人の男が叫ぶ。あぁ、五月蠅い。五月蠅い。


「邪魔」

動かないに刃の切っ先をちょんと当て、奥に突き進む。その行動で周りに居た的は一斉に指揮を取り戻し、一斉に襲いかかってくる。


「面倒くせぇ…全員死んどけや。」

無理矢理死神の能力を引き出す。抽選が始まり、数字が出る。


「はは…今回ばかりは運が味方したみてぇだな。」

咄嗟に耳を塞ぐ。その瞬間、周りが大爆発する。


「ほんと。ツイてないな。地雷草が僕のときだけ不発で、お前らの時は暴発なんてな。」


興奮が抑えきれずに嗤う。おっと…まだ一人生き残ってたか。


「大人しく死んどけば楽だったのにな。態々苦しむことも無かったのに。」

鎌の先端を差し込み、抜く。その途端、ダメージ音が響き、赤色に染まっているHPバーが更に濃さを増す。


「安心しな。君は死なない。永久な痛みには悩まされるけどな。」


絶望した顔を見て更に嗤う。あぁ…愉快だ。



ヌンチャクを振るい、敵の斬撃を躱しながら致命的なダメージを与える。相手をふっ飛ばし、後ろの奴らもまとめて谷底に落とす。よし。こっちはもう終わったな。


先程の医務室で貯蔵庫から貰った(奪った)回復ポーションを飲み、HPゲージを全回復させる。中級でも50は回復するから有り難い。


愛瑠は…まぁ、大丈夫か。なんとか持ちこたえているみたいだし。

普通に僕たちは可怪しい。ゲームとはいえ、相手を殺すには抵抗があるはずだ。なのに自己防衛とはいえ、相手を殺せるのは高校生にしては流石だと思う。


まぁ、僕は昔、色々あったけど…


「終わったわよ。なんかクセが強い相手だったけど。」

「無傷か。流石だな。まぁ、そんだけの足の速さがあればな…」

「三人だけだったしね。そっちは三十五人相手してるとか異常な


言葉を遮るように爆発の音が想像を絶する音で響く。

一瞬、光と音で意識が持ってかれそうになったが、舌を噛み、なんとか意識を保つ。酷い耳鳴りがするが、鼓膜が破れる程ではなかった。


「あああっ…痛い…」

愛瑠が耳から血を流す。あ…獣人は聴力が発達しているから、被害が出たのか。


「大丈夫か!?クソ…まだ【全快】のスキルが溜まってねぇ…」

気絶した愛瑠を抱える。そういえば、あっちには快が行っていたはず…

巻き添えになっていないかを確認するため、体を向ける。


「……やっべ……」

快は無事だった。だが、明らかに可怪しい。服装が違う。だが、あの服装は見たことがある。あれは…


「同化…しやがったのか?でも…徐々に体を蝕んでいくはずなんだが…」

ちょうど、愛瑠が起きる。だが、鼓膜はやられているらしく、彼女が話す言葉もどこか辿々しい。


「なんれ、こうなっれるの?かいがおかしぃし」

「なぁ、鎌見えるか?かま。」


快が見えるのなら鎌も見えるだろうと、口の動きが分かるようにゆっくりと話す。すると、察してくれたのか、それに答える。


「かま…?なんのへんれつもないけお…」

「え?魂が書いたりしてない…?」

「へ…?いっさぃかいてないへど…」


どういうことだ…?だが、愛瑠が見えないほど僅かしか残っていない可能性があるため、スキルを奪おうとする。一旦快の体の中に居たからスキルを譲渡したり、奪ったりしたりすることが可能なのだ。


死神を選択して取ろうとする。だが、

「拒否…だと…?もしかして、あいつ…」


適応しやがった…?

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