え?自分が魔王?殺人鬼?多分それ、冤罪です…
むぅ
よっしゃ!全力でVEMを楽しんでやるぞ!
第1話 VEM
「はぁ…疲れた…」
僕は帰って早々、ベッドに体を沈める。何日ぶりだろうか…家に帰るのは。
会社はいわゆるブラック企業だ。毎日残業残業残業残業!あぁ!もうむり!
だけど今日は…
「あのゲームが届く日…今日は絶対に堪能してやるからな!」
珍しく定時で帰れた僕は、ベッドの上で暴れる。その後、隣の人に苦情を入れられたのは言うまでもない。
僕は昔っから口下手で、自分のことを言おうとしているのに、何故か相手のことを貶していると認識されるほどに、重症である。親も、これを治そうとして、病院に連れて行ったりもしたのだが、重症過ぎて治らなかった。
その後色々あって、就職できたのが、このブラック企業だったというわけだ。
ゲームを買うきっかけとなったのが、3ヶ月前…
僕は何気なくテレビを見ていた。年に数回しかない土日!堪能するぜ!
『世界初!5感を使う完全なゲーム!安全に快適にお金を稼ごう!今日から、受付開始!』
「胡散臭せぇ…」
思わず呟いてしまう。なんなんだよそれ…そんな楽に金稼げるんだったら、苦労しねぇわ!
心の中でそう叫ぶが、やはり気になる。そして、そのゲームのことを調べていると、数々のことが分かった。
1 .ゲームの中のいわゆるギルドのようなものをクリアすると、その難易度に見合った報酬が政府から出されること。
2. 見ている限りでは、このゲームは安全とのこと。演出がリアルすぎるため、ゲームの世界で死んだら、続行するかどうかを聞くとのこと。それで、続行しないを選んだだ場合は、ゲームがスリープする。人々の精神的負担を考えた作りになっているようだ。
3. ゲームは、人々を楽しませるために、数多くのイベントを用意しているとのこと。
4. 警察と連携して、犯罪を犯した者は捕まえるということ。
僕は、その4つを調べた時、いつの間にか購入ボタンに手が行っていた。危うく購入するところで、自我を取り戻し、値段のところを見る。8万円…かぁ…考えている内に、残り15点と表示される。
あぁ!もう!買うっきゃねぇ!
僕は衝動で買ってしまったが、今となっては嬉しく思っている。
ゲームの名前はVEM。virtual exciting moneyの頭文字を取った、なんとも短絡的な名前のゲームである。世の中のものは大体そうなのだが。
そうこうしている内にインターフォンが鳴る。「はぁい」と腑抜けた返事をしつつ、玄関に向かう。
「ハンコを…お願いしやぁす…」
配達員が疲労困憊なのが目に見える。それはそうだろう。写真で見て、脳内で想像したサイズ感とは全く異なり、実際、高さが2m程ある。え?入るかなぁ…
「あ、はぃ。ありがとう、ございます。」
ハンコをポンと押し、荷物を一緒に運んでくれる。あ、ぎりぎり入った。
「あの、ありがとう、ございます…」
モゴモゴと言ってしまったが、笑顔で「大丈夫ですよ。」と言って去っていく。
さぁ、遊び倒すぞ!
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