帰省

紫閻-sien-

「もしもし、お母さん分かってる次の日曜日 わかった アレね・・・」

「必ず忘れないようにするから 大丈夫 娘もちゃんと連れていくから」


そんな電話のやり取りから数日後


《日曜日》


「ママ もうすぐだね おばあちゃんの家」


久しぶりに来たおばあちゃんが住む村 見るもの全てが新鮮で

車の窓から景色を楽しんでいる様子の娘


「最後に来たのが あなたが10歳の時だから 10年ぶりになるかしらね」


 車中での他愛ない会話

そうこうしてるうちに車はとある村の1軒の家の前に停まった


車を停め 荷物を持ち その家に向かう2人


玄関を開け 「お母さん ただいま 久しぶり」 「おばあちゃん 久しぶり来たよ」


そんな2人の声を聞き奥からゆっくりと祖母が出てくる


「まあまあ 遠いところ大変だったわね あらすっかり大きくなって

こんなに綺麗になって 」


孫の顔を愛おしそうに撫でながら言う祖母


「お母さん コレ 例の・・・」 母親はそう言い紙袋を渡す


祖母は中を確認し 静かに頷く


「じゃあ私帰るからね」


母親はそう言い出ていこうとする


「ママ どこ行くの? 一緒に泊まるんじゃないの?」


母親を追いかけようとするが祖母に腕を掴まれる

さっきの笑顔と違い般若のような顔になっている


しかも いつの間にか 娘は村の男達に囲まれていた


男達はあっという間に娘を担ぎあげる


「お前は大事なお供え物 逃げてはならん こっちに来るんじゃ」


祖母は紙袋を持ち男達を先導するように廊下を歩き 奥の部屋に入る


それに続くように 男達に担がれた娘が奥の部屋へと姿を消した





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帰省 紫閻-sien- @sien702

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