海の沫になるまでに叶えたい

水見

 とてもショートストーリーなので気晴らしに呼んでください。

 (本当にビックリするほど短いです。理由は一話一話区切りのいいところで終わるからですが)暇があったら呼んでくれたら幸いです。

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 海沿いにある村。そこでは今日——、六月六日にある少女を海に捧げることになっていた。

 それが私——笹倉鈴音ささくらすずねだ。

 私が捧げられるのは今から一時間後のこと。だからあと生きていられるのは一時間しかない。

 思い返せば短い人生で悲しいものだったと思う。だって、今日で十七歳の嬉しい誕生日だったはずなのに、死んでしまう日になってしまったんだから。

 それにまだやりたいことがいっぱいあったのに。これじゃあ死んでも悪霊になってしまうんじゃないのかな?


「……ハハ」


 私は一人で笑えない冗談を思いながら、乾いた笑い声を出す。

 そんなことをしている間にもカチッカチッと、一定のリズムを刻んでタイムリミットが迫ってくる。

 色々なことをやりたかったけれども、私の中では一番叶えたかったことがあった。でも、それももうできないことだろう。


 あのさ、聞いてくれてる君に最後に一つだけ、いいかな?

 私の話を全部聞いてくれない?聞いてくれたら私はもう何も残すことはないからさ。


 死ぬまであと五十九分——。

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