第三章 要するに この章ほとんど デートかい
第35話 レンタルマンガ 魔道具で、貸します?
ちょうど一週間たったので、本日はソフィアの手伝いをしに来ていた。
ソフィア的には、適当でもいいみたいだったけど、まあ、今日は予定もないしな。
「そういえば、俺が教会に来るといつもいる気がするけど、休みとかはどうしてるんだ?」
「そうですね。休んでもやることが無い日が多いですし、ほぼ毎日来ていますね。他の方は、それぞれで調整して休んでいるそうですが」
まさかの休みなしだった!
まあ天使だし、体調とかは問題ないだろうけど。
「それに、この部屋で楽しく漫画を読んでいますので」
「あー。まあ、そうだな。それが仕事だったな」
そういえば、漫画を読むのは仕事って扱いだったな。
異世界の知識を得るってことで。
「ただ、最近はそれ以外にも仕事が増えましたね」
「えっ!? 何かあったのか?」
俺がこの世界に来た後で、何かあったのだろうか?
教会の人からは、そんな話は聞いたことがないけど。
「増えた仕事としては、ハクトさんのサポートですね」
「あれ? 初日とかに説明をしてもらったけど、それくらいじゃない?」
初日と三日目だったかな?
この世界や、この国について色々教えてもらったな。
……
「それもありますが、王城に同行した時など、ハクトさんと一緒に行動したものは、すべてそうですね」
なんですと?
「あれ? じゃあ一昨日のも?」
「そうですね。まず、天使としての私の立場なのですが、異世界関連すべてが担当となっています。そのため、異世界から来たハクトさんと行動するのは、私の仕事の
あ、あー、そういうことか。
そういえば、漫画を読んでるのも、異世界の知識を取り込むって名目だったもんな。
「でもそれじゃ、漫画を読む時間が減っちゃったんじゃないか?」
優先度が高そうだったもんな。
……つい、帰ってほしいアピールをするくらいに。
「そうですね。ですが、ハクトさんと行動するのも、漫画を読むのと同じくらい優先したいと考えています」
「え!?」
トゥンク……。
「ハクトさんと一緒ですと、おいしいものを食べられることが多いので」
知ってた。
「それに、興味深い体験をしたり、知り合いが増える、といった事もあり、楽しませていただいています」
「そっか。とりあえず、ソフィアが楽しんでるなら良かったよ」
「そうですね。それに、あらかじめ魔法を使っておくと、頭の中で漫画を読むこともできますので」
会話に混ざらずよく黙っていることが多いな、と思っていたけど……。
そっかぁ。漫画を読んでたのかぁ。
……まあ、誰にも迷惑とかは掛からないから、いいんだけどね。
「でもそれなら、また何かに誘ったりしても大丈夫か」
「そうですね。また、ハクトさんと行動するのが楽しみです」
トゥンク……、ってもういいわ!
◇
今日の目標として渡された漫画の整理が終わり、一旦休憩することにした。
「そういえば明日、
「そうですね。アオイさんと同じように、以前会ったことがある、というくらいですね」
「そっか」
まあ、ホムラやハヤテが特別って感じだよな。
あの二人はあちこちに出没していそうなイメージだし。
「それよりもハクトさん、そろそろ食事の時間です。何か食べたいものはありますか?」
すでに一緒に食べるのは決定事項なのね。
さて、何か食べたいもの、か。
何でもいい、とか、まかせるっていうのはだめみたいな話をどこかで見たけど……。
「ソフィアの食べたいものがあれば、それでいいかな」
「そうですね。それでは、オムレツはどうでしょうか?」
ソフィアのことだし、多分食べたいものは決まっていると思ったが、正解だったな。
そして、選ばれたのがオムレツか。
そういえば、元居た世界でも最近は食べていなかったな。
「わかった。それじゃ、洋食屋に行くか? って、ここは異世界だったな……。俺のいた世界の料理が色々あるから、たまに忘れそうになるよ。食べられるお店は知らないから、案内してくれるかな?」
「お店ではなく、オムレツは私が作ります。パンケーキづくりに使用した魔道具なのですが、ベイラさんにお願いして新たに作成していただいたきました。そちらを使って、ふわふわなオムレツを作ってみたいと思っていましたので」
はやっ! そして、それをすぐに用意できるベイラも流石だ。
ふわふわなオムレツは食べたことがないし、楽しみだな。
◇
ということでソフィアが作ってくれた、ふわふわなオムレツをいただいた。
塩コショウやケチャップ(ぽいの)で食べてみたが、ふわふわな食感と、食べた時に口の中で消えていく感じが面白かった。
ただ、ソフィアが
「おいしいですが、見た目よりは食べた感じがしませんね。パスタでも茹でましょうか」
と、パスタも作っていた。
……俺も物足りなかったので、俺の分も一緒に茹ででもらった。
パスタを食べ終わった後で、ソフィアから報告があった。
「そういえば、まだ言っていませんでした。この前の焼肉弁当なのですが、モニカさんにいただいたアドバイスを元に、お弁当屋さんにレシピを渡しました」
「そういえば、前に焼肉のたれを作ったり、モニカに試食してもらったりしたな」
「お店で販売されましたら、お知らせしますね。モニカさんといえば、ハクトさんとモニカさんでケーキに関して共同作業をしていましたが、結婚されるのですか?」
急にぶっこんできたな!
というか、ウエディングケーキじゃなくてパンケーキだし!
共同作業っていうのも、作るわけじゃなくてケーキに入刀することだし!
……といった内容を含め、ソフィアに説明した。
◇
「そういえば気になっていたんだけど、この漫画は他の人に見せたりはするのか? 確か、創造神もよく読んでいる、って初日に聞いた気がするけど」
「見せてはいませんね。創造神様からも注意を受けているのですが、異世界の本を複製し、自分が執筆した物だと偽って販売されるのを防ぐためです。本を紛失する可能性を無くすため、誰かに貸したり、天界や教会以外の場所で異世界の本を取り出すことは、避けていますね」
「うーん。図書館にある本を読んだり、そこから得た知識を活用するのはセーフ、本自体を複製して、しかも自分の本として出版するのはだめ、みたいな感じかな?」
「例えとしては適切だと思います」
「なるほど。それでいうと、例えばこの部屋で、ハヤテとかに本を見せるのは大丈夫ってこと?」
「確かに、そうですね。見知っている方であれば問題ないですね」
異世界の知識を誰かに伝えるときに、直接絵とかを見せられたらな、なんて思ったことが何度かあったんだよな。
ソフィアは大体ここにいるみたいだし、お願いしてみるのもいいかもしれない。
もちろん、信頼できる人っていうのが大前提だけどな。
「ハヤテはすごく見たがるだろうな。漫画から得られる知識とかは、アオイやアキナ、イズレとかも知りたそうだ」
「そうですね。私が異世界の漫画に
イズレにキャラクターのイメージを送った時みたいに、皆何かしら衝撃を受けそうだ。
……皆が漫画を読んだ時の反応か。
ちょっと気になるかも。
「でもそうなると、ソフィアが漫画を読む時間が減っちゃうかな? こんな本が読みたい、ってリクエストに毎回答えないどだろうし」
「そうですね。収納と検索機能のある箱状の魔道具を、空いているスペースに置こうと考えています。ハクトさんに整理していただいているので、探しやすくなっていると思いますので」
ああ、その手があったか!
今日もそれを本の整理に使っていたのに、思い当たらなかった。
「それじゃ、今後も本の整理を続けないとな」
「そうですね。よろしくお願いいたします」
その後は、俺のいた世界にあるレシピ本について色々聞かれた。
どうやらミキサーの魔道具を手に入れたことで、それを活用した料理を色々作りたくなったみたいだ。
……残念だけどソフィア。
その本に書いてある料理は、3分では作れないんだ。
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