インターフォン
虎ノブユキ
第1話 1日目
ピンポーン ピンポーン
夜の11時、インターフォンがこんな晩い時間に鳴るなんて珍しい。その時はそんな事を思っただけだった。
私の部屋は2階建てアパートの1階で、道路側から奥に向かって4部屋並ぶ1番手前の部屋だった。
若い女が1人で住むなら1階とか道路側とか避けるのだが、私が物件を見つけた時にはもうその部屋しか残っていなかったのだ。JR高円寺駅徒歩5分で静かな住宅街、広いキッチンの1LDK、家賃7万5千円とめっちゃ安い、しかも新築で。こんな物件なら1階だろうが道路側だろうが残り物だろうが即契約だ。
案の定、それからというもの、申し分なく満足のいくシングルライフが送られていた。
そう、それまでは……。
夜の11時にインターフォンが鳴るなんて初めてかもしれない。
そう思いながらテレビの音量を少し下げ、キッチンのモニターを見た。しかし、誰も映っていない。「会話」というボタンを押して「はい」と言ったが、何も反応はなく、何も映らない。
……いたずら?
少し気味が悪かったが、もう一度「会話」ボタンを押してモニターを消し、再びテレビを観始めた。
気にしてもしょうがないし、次第に気にもならなくなっていった。
その日はそれで終わったのだが……。
インターフォン 虎ノブユキ @kemushikun
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