【失われていたあの世の日記】〜ある日の冒険譚を思い出した俺達は全てを取り戻すために新たなる物語を歩みだす〜

ぽていと

第一章

ある冒険譚のエンディングそしてある物語のプロローグ

―――それは、失われた過去の記憶


―――そして、過去の冒険の終着点




「――今の君達では無理だ、この世から逃げろ!!」



ある男の声が、四人の耳を刺激する


「諦めない!ここで諦めたら何のための冒険だったんだ!」


少年が反発する

それに続いて他の者も声を上げる



「そうだ!僕達は彼女を救うために今までやってきたんだ!」

「▓▓▓は絶対に助ける!!」

「俺だけ助けられるなんて男の恥だ!!」

「皆諦めてない!まだ戦える!」



そう言い、戦いに走る彼らを、ただ見てることしかできないその男は自分の弱さを呪った


少年が真後ろへふっ飛ばされ、壁に激突する

少女の血が舞う

痛みに苦しむ声が、まだ諦めないと咆哮へ変わる


これだけボロボロになりながらもまだ諦めないのは、助けたい存在がすぐそこにいるからだろう

闘志の灯る彼らの目には、前の強大な敵がどう映っているのだろうか


「返せぇぇぇぇ!!!」


少年の叫びが敵を殴る

だが傷一つ無い

格が違うのだ


「はぁぁぁぁぁぁっ!!」


少女の闘志のつるぎが振るわれる

だが何ひとつも斬れない

存在してきた時間が違いすぎる


敵の腕が横に振り払われれば、衝撃波が襲い何m先にも吹き飛ばされていく


もう皆限界だった

息も切れ切れ

叫ぶ力さえ残っていない

全身が傷つき、もはや傷が見えない部分がない



だが目に灯る闘志だけは消えない



おそらく次の交戦で決着がつく

男はそう悟った


彼らは一人の少年に自身のを込める


少年が立ち上がる

少年の左腕が青く輝く

少年の黒い髪が白く染まってゆく

そして強い眼差しで敵を見据える


すると、そいつは初めて笑う

まるでようやく敵とみなせる相手に出会えたかのように

高らかに

興味をそそられる彼に

そして腕に力を込める


ビュンッ


少年が風を切る


そいつも力を込めた拳を握りしめて渾身の一撃を繰り出す



「あああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!」



刹那、周囲の空気が悲鳴を上げる

互いの拳がぶつかり合う




―――そして





 ✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚✚




その男は傷だらけの天使少年達を運ぶ

扉を開け、その中へ送り込む

全員運び終えると

目の前には、少年達を打ち負かした怪物が先程とは違う笑みを浮かべている

男も思わず笑みをこぼす

そして目の前の怪物に一言


「少年達は負けてない。必ずその子を取り返しにまた立ち上がるだろう…」


だがそれは今ではない

怪物はそれを聞くと腕を振り上げる





男の

殺される――――――




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