第11話 失われていた4つ目の記憶①
翌朝学校に行くと、玲夏の様子がおかしかった。
朝は玲夏の取り巻きと話している(話しかけられている)のだが、今日は
『ごめんなさい、今日は一人にさせて』
と言って机に伏していた。
「おい愁斗、お前なんかやったろ」
「いや何もやってない…はずだけど…」
隆輝が聞いてくるが、俺にはやらかした記憶はない。
「まあとりあえず昨日あったことを全部言ってみろ」
「ああうん…」
◇ □ △ ◇ ◁ △
「……てな感じだ」
「おい最後の部分もう一回言ってみろ」
「…?だから、このままじゃ誤解されると思って帰ったんだ。」
「違う、その次だ。」
隆輝はジト目で俺の顔を覗いてきた
「ああ、玲夏が呼び止めてきたけどこれで帰るのやめたら一緒にいたやつは俺だってバレちまうから無視して帰った。」
「そこだよ…」
「ああ、無視したってことか?でも無視しなかったときのデメリットは玲夏もわかるだろしょうがなかったんだ。朝『
「なんて謝ったんだ?」
「『昨日は無視してごめん』って言ったら『ううん、全然気にしてないから大丈夫』って返ってきたぞ、だから大丈夫じゃないか」
「…女子の『全然気にしてない』は大体すごく気にしてるんだ。」
「え、まじで?」
でも無視されたくらいでそんなに落ち込むか?
「愁斗、あとでもう一回謝っておいたほうがいいぞ。」
「…おう」
◇ ◁ △ ▽ □ ◇
休み時間
「あの…玲夏…?」
今日は取り巻きはいないので楽に話しかけることができた
まあとてつもなく小声で
「……なに」
これまで見たことがないくらい落ち込んでいる声で返事を返してきた
「あの、昨日はほんとにごめん。でも俺といたことがバレたらヤバいと思って…玲夏のためだったんだ。」
「…え、そうなの…?」
「ああ、俺と一緒にいることがバレたらお前『うわ、お前あんな陰キャと買い物してるとかないわー』とか言われると思って…」
なんか自分で言っていて心が痛むんだが
「もしかしたら俺とお前が付き合ってるとか嘘の噂を立てられるかもしれない。」
「つ、付き合ってる……!?」
「だから無視したんだ、ごめん。」
「う、うんいいよ…」
よし、これでオッケーだ。
その後、なんか玲夏がまだ机に伏していたが、落ち込んでいる雰囲気ではなさそうだったのでまあ大丈夫だろう。
◇ □ ▽
△ ◁ ▽ □
「よぅし、じゃあ明日の計画を立てるぞ!」
今日は金曜日、明日は休日のため3人で神社へ向かうことにしたのだ。
次向かうことになった神社はこの前隆輝と行った神社からわずか400メートルしか離れておらず、あの時行っておけばよかったなと後悔した。
「あの時は結構時間かかったな」
「ああ、食料とかも用意しておいたほうがいいな。」
「じゃあ食べ物は私が用意する」
「俺もお菓子くらいは持っていけるぜ!」
「ごめん、俺何も持っていけない…」
「愁斗は両親のこともあるし心配すんな、電車代も俺が出してやるよ!」
「ごめん、ありがとう。でも電車代は俺が出すよ流石に。」
そうかと言って隆輝は俺の背中をバシバシと叩いてきた
少し曇っていた表情が明るくなっていく
友達っていいな
□ ▽ ◁ △
◇ □ ▽ ◇
ガタンゴトンガタンゴトン
朝の6時、俺達3人そろって電車に揺られていた。
「あー、眠い…」
「愁斗大丈夫か?」
俺は朝が弱いため、アラームを変えまくって対応しているが(同じアラームを使い続けて1週間くらい経つとアラーム耐性という謎の耐性がつき起きられなくなる)今日は早起きだったためクソ眠い。
「着くまでまだ時間あるし寝てもいいぞ」
「うん、そうするわ。」
俺は重さに耐えられなくなったまぶたを閉じ
ギ◯ス世界記録な速さで眠りへ着いた。
▽ ◇ □
△ ◁ ▽
愁斗が驚異的な速さで眠りについてから5分
最初の方は背もたれに寄りかかって動かずに寝ていたのだが、バスが交差点を曲がり、ぐわんと愁斗の首が動き…
ドゴッ
愁斗が椅子から転げ落ちた
「…!?愁斗、大丈夫か?」
「ぜっとぜっとぜっと…」
「は?」
「ぜっとぜっとぜっと……」
「え、眠ってんの?」
普通は英語表記だろ
「はあ…ほら、俺の方にでも寄りかか…」
隆輝は玲夏の方を向き、ニヤリ。
「いや、俺の方によりかかられるなんて嫌だから玲夏頼む」
「へ!?」
どっこいと隆輝が愁斗を玲夏に押し付ける
「ぁ……」
玲夏の顔がどんどん赤くなり隆輝の方を向くと少し怒っているような、でもまんざらでもないような顔をした。
隆輝はにひにひとほくそ笑んだ
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