第44話玉

俺はボールを胸あたりまで持ち上げて助走をつけ勢いよくボールを転がす


そして、ボールを投げる角度はきっちり90度


「おい曲がってるぞ」


90度にはならず中途半端なまま投げたら十川にそう注意されるのだった


「くうやめろよ恥ずかしいだろうが」


「だって曲がってたから」


そして恥ずかしくなりながら投げた俺のボールはぐにゃぐにゃとなりながらもおちずにピンを吹き飛ばすのだった


十川がツッコミをする


「いや吹き飛ばすって化け物ではありませんか」


「もしかして普通じゃない?」


「これが普通ならなんでも普通になりますよ」


「鍛えてるからね」


「……まあ吹き飛ばすって表現しただけで普通に倒れただけですけど」


……小説特有のオーバーな表現を言われたら俺の立つ瀬がないのでやめてほしい


俺をいじっていた十川が席を立ち俺と代わる


「うむでは次はわたくしがやりますよ」


十川が青色のボールを手にとり三本の指を三つの穴にとおす


青色のボールには白色の三本線が通った


まるで天の川のようなきれいで鮮やかなボールだった


十川は俺みたいに角度を考えたりなんてせずおもいっきり勢いをつけて投げる


俺のように助走もつけている


そのボールは勢いよく真っ直ぐ転がりピンを投げ飛ばしていく


「俺みたいに失敗をしなかったかあ」


「なんですか失敗をしてほしかったんですか意地悪ですね」


「いやそういうわけではないぜ」


「そうですかならいいですが」


「あれ?すぐにひくんだなてっきり怒ると思ったのだがなんつうかからかい合うのが楽しかったんやけど」


「うふふその言葉を聞きたかったんです」


「え?どういう」


「あなたがわたくしとの関係性に満足しているのか気になってたんです」


俺の彼女って可愛いなあおい


前まで自信のことを男だとすら思っていた女のこのセリフかこれがくう最高かよ


「どうしたんですかにやにやして」


「いやなんでもない」


俺は自信の顔を見られたくないから顔をそらす


「ふぅーんならいいけど」


なにか言いたげな目で見てきたあと彼女は自信の席である俺の前に座ってくる


俺の右隣に座っているりんちゃんが立ち上がり


「では行ってきます」

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