第42話スコア

「ねえねえスコアが一番よかった人がなにかもらえるってルールにしない?」


「俺はいいけど他の人はどうなんだ」


「ぼくはいいと思うよ」


「ええわたくしも」


「まあどちらでもええよ」


雑に答えるりんちゃんを俺たちは見る


「僕は少し用事があるから移動するね」


そういって席を離れる彼女を見て俺は


「なあもしかしなくてもなにかあるよな」


「まあそうとしか思えないわね」


「だったら追跡するか」


「でもそれストーカーじゃない?」


「そうだけどさ気になるんだもん」


「はあ分かりましたでは三人で行きましょう」


「やっぱり気になるんじゃん」


「別に」


俺たちはりんちゃんの後を追う


バレないように静かに動く


廊下をぐねぐねと曲がっていきやがて人通りの少ない道までやってくる


そうするとりんちゃんが男と話しているところを見つける


「えっこれ」


そういって大声を出しそうになる霧雨苺の口を塞ぐ


「むぐむぐ」


霧雨苺は俺に口を塞がれたことに抵抗していたがだんだんと顔を赤らめ始めて


俺は慌てて口を塞ぐのをやめる


「おいどうした」


「だって強引だなあと思って」


「いやちがっ」


「なにいちゃついてんのよ」


恋人である十川が少し怒りぎみにいってくる


「いやすまん」


「べつにいいけどさ」


プイッと顔をそらす十川


俺はご機嫌どりをすることになるのだった


恋人ってこんなにもめんどくさいものなのか


「それであの男の人葛野だよね」


「ああそうだろうな」


男の人を見ながら十川がそんなことをいってくる


葛野とは十川にむかしひどいことをしようとした最低な元カレ


「なのになんで」


そりゃそんなやつと自分の親友が仲良くしてたらいやだよな


「二人って付き合ってるのかな」


なにも知らない如月三久がそんなことを聞いてくる


「なっわけないでしょ」


「そうだありえない」


そんなことがあってほしくない俺と十川はすぐに否定する


「でもさわざわざ僕たちと離れて二人であってるんだよ」


「そうだけどなにか事情が」


「僕は四人の間になにがあったのか知らないけど親友なら応援するべきでしょ」


「くうそうですけどわたくしは」


まだなにか言いたげだったがりんちゃんの姿を見ると十川は覚悟を決めたような目になる


「そうですわねわたくしも応援しないといけないですわね」


「ああそうだな」


俺はその気持ちを肯定する


「ねえなにをやってるの?」


俺たちは楽しく話していたがために追跡していることがバレていると分かっていなかった


「いやその」


俺たちは慌ててごまかそうとする

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