第33話救いの手

相沢十川が絶望している顔を見る


相沢十川を救うことが出来るのだろうか


そんなことを悩みかけるが頭を横にふる


俺は救いの手を差しのべるために全力で頑張るのみだ


「なあなんでそんなに悩んでいるんだ」


嗚咽混じりに答えが返ってくる


「だってわたくしのせいで女の子を殺した」


「そうか」


「そしてわたくしはいろんな人に報われただから助かっているいろんな場面で」


「よかったな」


「全然良くないですわたくしだけ報われるのはどう考えてもよくない」


「うんでもさ世の中不平等じゃないことばかりだろ」


「あなたにはわからないでしょどうせわたくしの気持ちなんて」


「いやわかるよ」


「なんで分かるなんて言えるんですか」


「だって俺も俺だけ助けられてしまったから報われてたから」


相沢十川は下を向いていた顔を俺の方に向けてくる


「そんなことがあったんですの?」


少しだけ輝く目を見つめて俺は


「ああそうだよ昔俺は相沢十川と比べたら全然辛くないレベルの代物だけどでも辛かった」


「それわたくしにたいしてバカにしてますか」


「いやいやしてないしてない」


「はあ分かっておりますわ」


「そうかならよかった」


「ふんよかったですわね」


「ああよかったよ」


「それでどんなことが起きたんですか」


「ああいじめられたんだよデブで暗い性格してて今じゃ考えられないだろ」


「ええ考えられませんわね」


「だろだからさ人は変われる過去を乗り越えることが出来る俺もああ自分だけ報われないって思っていたあれ?ごめん少し話しが違うかも」


「いえ伝えたいことは分かりましたので良いですよ」


「おうそうかならよかった」


「でも全部救ってくださるんですよね」


「ああそういったな全部任せろって」


「ええ覚えておりますわだから一緒にずっといてくださいね」


「分かってるよ相沢十川」


「相沢十川はやめてくださる?」


「じゃあなんて呼べば良いんだ」


「十川と呼んでください」


「分かったよ十川」


「はい」


頬を赤らめながら答える彼女を見て俺は可愛いと思う


「あとさ山村凪様ってのもやめろ」


「ええそうですねでもほとんどよんでいませんでしたが」


「だって言っちゃ悪いがほとんど関わってないからな」


「……それは本当に言ってほしくありませんでした」


「ごめんマジでそんなつもりは」


「言い訳は聞きたくありません」


プイッとそっぽを向いてしまった彼女のご機嫌取りをする俺は少しだけ変わったこの関係を嬉しく思う


「あと呼び方変えてや」


「ええ分かってます凪くん」


「おう十川」

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