ネッシー

@ryuma081111

第1話

ネッシー




前半





プールにネッシーが出た!


校舎の隅にある古くて大きなプールで、誰かがネッシーを見たと言う。学校中の生徒たちがこぞって騒いでいた。ネッシーという単語を知らない僕は、ロナウドとかメッシとかのサッカー選手か何かでも出たのだと思って。一緒に騒いでいた。




昼休み、お馴染みの単語を耳におさめながら、コッペパンに噛みついた。遅食の僕にとって牛乳はコッペパンと相性がいい。すかさず飲んで、口の中を洗い流した。


すると、もう食べ終わって、歯磨きも終えた西村くんが自信ありげな表情を浮かべ、こちらに走ってきた。廊下は、走ってはいけないというのに。


「なぁ、ネッシーがいないことを証明しに行こうぜ」


机の前で彼が発した言葉は、やはりまた、ネッシーだ。もしかしてネッシーはサッカー選手じゃなく催眠術師なのかもしれない。



「ネッシーっているものなの? 」


ネッシーはもう国に帰ったのだと思ってた。


「うん。いない。だからと言って、それをみんなに言ったところで信じてもらえないだろ。どうだい?明日の夜。花火祭りを抜け出して探しにいかないか? 」


西村くんもネッシーが洗脳師と思っているのかもしれない。いつもテストがすぐ終わってきっと頭がいいから、多分信用できる。


「僕は花火を見たいよ。でも、ネッシーというのも見たい」


「だから、いないんだってば」


ネッシーは、いないのか。だけどちょっと、気になってしまう。あんなに皆んな憧れているのなら、その姿形なんて一回見せてくれたっていいじゃないか


「いてもいいじゃんか。見てことないから見てみたい」


「じゃあいいよ。いることを証明しに行こう」

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