新時代の「炎上」と「ポイ活」。飼い犬を捨てると、ケルベロスになるってよ!

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 飼い犬が、地獄犬ケルベロスとなってまさかのパワーを身につけたら…。現代ファンタジーは、恐怖の「ポイ活」なのか

「炎上」が続く、今日このごろ。

 SNSは、怖いんだ。

 その日は、高校への登校中から変だった。

 「飼い犬が消え 町のゴミ捨て場で発見 エモすぎる」

 登校し、まわりに言ってみたら、変に大ウケ。

 町のゴミ捨て場を横切って登校するのは、いつものこと。

「おはよう!学校にくる途中、昨日どこかにいった飼い犬が、町のゴミ捨て場に捨てられていたのを見たぞ?」

「新時代のポイ活?」

「ペットロス?」

「ケルベロス?」

高校生は、残酷。

 気になった彼は、高校の帰りにも、例のゴミ捨て場に寄ってみた。

 飼い犬は、捨てられたまま。

 ゴミ捨て場で、泣き続けている。

「かわいそうにな…」

 ゴミを回収する人も車も、まだ来ていないらしい。

 悪ノリ気分で、その様子を SNSに上げたら、撮って拡散した動画に、次々と「いいね」の推しが入ってきた。

 ひど…。

 動画を見たり「いいね」を送るとポイントがたまるという意味での「ポイ活」が、そもそも、良く思われない時代だというのに。

「ポイ活」でたまるポイントは、アマゾンなどで現金に換えられる。

 便利は、便利。

 けれど…。

 こう訴える団体が、現れた。

「そういう活動って、いいね依存にならないか?良くない」

 だから、ポイ活は禁止されてきたんだよな~。

 今、多くの人が SNS疲れを起こしている。

 だれもが情報の発信者になれる SNSでは、だれもが「炎上」させられるリスクと戦わなければならなくなっているわけだ。

 それはそうと、助けにいかなかったことを悔やむ彼。

「そういえば、あいつ、どうしているだろう?」

 翌日。

 ゴミ捨て場にポイ活されていた飼い犬が、家に戻ってきた。

「良かった、無事だったか!」

 そう彼が言うや否や、飼い犬が、彼のふところに飛び込ぶ。

「貴様!なぜ、大切なこのペット様をすぐに助けにこないのだ!」

 言葉を話し、口を大きく開けて炎を吐き出す。

 どうやら、火炎のパワーを身につけたらしい。

「…ファンタジーなんて、大きらいだあ!」

 断末魔の、彼。

「バウッ!あ、でも…」

 飼い犬が、彼のほうへ振り向く。

「人間よ!お前、捨てられていた俺を見て、かわいそうにってあわれんでくれたよな?その言葉、悪くないぜ?」

 が、すでに遅し。

 彼は、すっかり「炎上」しきっていた。

 

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