【詩】空が泣く 雨が降る



空が泣く

雨が降る


傷だらけの心は

哀しみを忘れていなかった

わたしはまだ〝生きている〟

哀しみの雨は

わたしを濡らし

命を感じさせる


わたしという存在に

理由はなかった

生まれ落ちた時から

わたしという存在に

理由はなかった

呼吸をして

食事をして

ねむる

その生命的な連続の上に

成り立っていた

やがて

「わたし」という自我が目覚め

わたしを認識することで

わたしはようやく

存在理由を獲得することができた


空が泣く

雨が降る


地球の反対側の空は

こっちの空を感じるのだろうか

遠く離れた存在に

意義を感じるのだろうか

そうじゃなくても

雨が降るのは

たぶん

わたしの心が哀しむから



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【詩集】哀しみの詩 とろり。 @towanosakura

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