黒髪のグロンダイル 番外編
ひさちぃ
第1話 ミツル・グロンダイルの真凜に言えないこと
剣から少し離れた場所に座り込んで、私はひとり、心の中で言い訳を繰り返していた。どうして、こんなことをしてしまうんだろう、と。こんな私を真凜には知られたくない、それでも、私は自分を抑えることができなかった。
「真凜……ごめんね…」
声に出してみても、その言葉は私自身を慰めることはできない。ただその名前を呼ぶたびに、胸の奥で深い痛みが広がっていく。剣に触れれば、真凜が私の感覚を感じ取ってしまうから、あえて剣を遠ざけて、心の中の罪悪感と葛藤しながら、自分を慰める行為にふけっていた。
触れるたびに、胸の奥で罪悪感がじわじわと広がっていく。真凜の優しい笑顔や、そっと寄り添うような言葉が頭から離れず、私はさらに自分を嫌いになっていった。彼女の笑顔を思い出すたびに、どうしてこんなにも辛いのかと、心の奥底で叫びたくなる。
「こんな私を知られたら……」
その考えが頭をよぎるたびに、涙が頬を伝う。涙は止まることなく流れ続け、頬に冷たく感じる。私は彼女と感じ合いたい、もっと彼女を近くに感じたいと願っているのに、それが叶わないことが、こんなにも辛いだなんて。剣の中にいる真凜には、私の感覚が届いてしまうけれど、その一方通行の関係が私をどれほど孤独に追い詰めるか、自分でもわからなくなる。
「どうして、こんなこと……」
涙がさらに溢れ、私は何度も自分に問いかけた。こんなことをしても、満たされることはなく、ただ罪悪感と自己嫌悪が増していくだけだとわかっているのに、それでも止められない自分が情けなくて、ますます涙が溢れてきた。心の中で浮かぶ真凜の姿が、私の苦しみをさらに深くする。
心の奥で、彼女ともっと近くに感じたいという希望が絶望的な現実と対比して、私の胸を締め付ける。彼女と感じ合うことができたなら、どれほど心が救われるだろうと、涙の中でひとしきり願っては、また新たな罪悪感に押しつぶされていった。
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