そして蛾は落ちる

浅瀬 凛

第1話 失われた者

夕焼けの色を写した池の水面を

大きな茶色い蛾がバタバタともがき

揺らしていた。

やがて蛾の鱗粉は全て荒い落とされて

力無く、水底に落ちていく。。。。。。。。。。



私はそれを、"まるで私の様だ"と、自身と

重ねながら見ていた。

蝶のようには愛されず、夜になれば光を求め

もがく様に飛び回り、人々に疎まれる。

一体私は、なんのために生まれてきたのだろう。

答えは明白で、"なんのためでも無い"んだろう。

生まれてきた意味、生きる意味なんてものは

後付けで、生きていく中で拾うものである。


下校中に偶然見た、蛾の死に際に感傷的になるなんて、現代のJKらしく無いよな。

わかっている。

自分が少し、ねじ曲がった性格であることは。

そして私が、現代に蔓延る希死念慮に感染していることも、わかっていた。


_今日は、令和2年9月1日…ね。

 この日付来年、令和3年9月1日を

 私の命日にしよう。


そう決めた日であった。


夏休みも終わり、高校へ通う日々が再開された。

私は、特にいじめられてる訳でもなければ

家で暴力を受けているような子でも無い。

多分、傍から見たらただ普通の生徒。

死にたいと思い始めたのはいつだったか、

よくは覚えてなく、ただ、ただ、

楽しみや、目標や、生きていく自信を失っている。

スマホを見てるのがいちばん楽しい。

そんな時代に生まれた私の、ただの日記のような

物語を。ここに書き潰していく。

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