19
次の日の朝、弥央はいつもより少し早く目が覚めた。窓の外からは、まだ静かな街の風景が広がっている。彼女はベッドから起き上がり、昨日までと同じパジャマ姿のまま、部屋の中をゆっくりと歩いた。クローゼットの前に立ち止まり、静かに扉を開ける。
中には、昨日着た水着が綺麗に洗濯乾燥されてかかっていた。それを見つめながら、弥央はそっと手を伸ばし、柔らかな布の感触を確かめた。思わず微笑みがこぼれる。あの日、海で感じた自信と希望が、また心の中に蘇ってくる。
「これを着て、もっと頑張ってみよう。」弥央は心の中で自分にそう言い聞かせた。
彼女は水着をクローゼットに戻し、制服に着替える準備を始めた。制服に袖を通しながら、今日は少し特別な日になるかもしれないという予感がした。
学校に着くと、いつものように友達やクラスメイトたちと挨拶を交わしながら教室へ向かう。教室に入ると、紗波がすでに席についており、何かを考え込んでいる様子だった。
「おはよう、紗波。」弥央は明るく声をかけた。
「おはよう、弥央。」紗波は少し驚いたように顔を上げ、笑顔で返した。
二人は自然に隣の席に座り、授業が始まるまでの短い時間を過ごす。弥央は、昨日のことを思い出しながら、紗波と目が合うと、ふとした瞬間に言葉が漏れた。
「ねえ、紗波。また一緒に海に行こうよ。」
紗波は驚いたように弥央を見つめた。「本当に?また練習する?」
「うん。でも、今度は気楽なサーフィンがいいな♡。」弥央は自信を持って微笑んだ。「完璧じゃなくても、いいんだよね。」
その言葉に、紗波は嬉しそうに笑顔を返した。「そうだね。」
授業が始まるベルが鳴り響く中、二人はお互いに笑顔を交わした。
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