一か八かの魔法

「それじゃミナちゃん、リュックをここにちょっと置いてくれる?」


「うん、いいよ♪ わかった♪」


 それから私とミナちゃんは再びベンチのある場所へと移動し、ミナちゃんのリュックをベンチの上に置いてもらったの。


「ねぇねぇ、アリシアおねえちゃん。いまからいったいどんなまほうをつかうの?」


「それはね、リュックを喋らせる魔法だよ♪」


「リュックがしゃべるの!? すごいすごい、とってもみてみたい☆!」


「ふふっ、ありがとう♪」


 私が使う魔法が何なのかミナちゃんに話すと、ミナちゃんは目をキラキラと輝かせながらとても興味津々だったの♪


「リュックを喋らせることによって、もしかしたらモモちゃんのことが何か分かるかもしれないと思ったの♪」


「あっ、そっか♪ わたし、モモちゃんをいつもリュックにいれていたからリュックならきっとモモちゃんがどうなったのかしってるかも♪」


「そういうこと♪」


 私がリュックを喋らせる魔法を使う理由を聞いたミナちゃんはそのことにとても納得し、改めて目をキラキラと輝かせていたの♪


「それじゃ、リュックに魔法をかけてみるね♪」


「うん、おねがい♪」


「よし☆!」


 物を喋らせる魔法は師匠から一応教わったことはあるけど、正直成功した試しがあんまりないんだよね……。だけどそんなのはもう言ってられないよね☆! 今はただ、魔法を成功させるために全力で集中しなくちゃ♪


「スゥ〜……、まず最初は杖に私の魔力を溜めて……」


 そして私は持っていた杖を出し、精神を集中して自分の魔力を杖に溜め魔法を発動する準備をしていたの。


「……」


 うん、これでよし☆! あとはミナちゃんのリュックに魔法をかけるだけだね♪


「フゥ〜……、行くよ☆! ミナちゃんのリュックが喋られますように☆!」


 キラキラ……♪


「わ~い☆! アリシアおねえちゃんのまほうだ♪ すごいすごい☆!」


 杖に魔力を溜め終えた私は、そのまますぐにミナちゃんのリュックに魔法をかけたの♪


 一応ミナちゃんのリュックに魔法をかけてみたけど、果たして上手く成功出来たかな?


「「……」」


 ゴクリ……。


「うまくいったのかな……?」


「う~ん……、どうだろう……? 一応魔法をかけたとはいえ、リュックが本当に喋るかどうかはまだ何とも言えないわね……」


 ゴトゴト……。


「「ん?」」


 ペコリ♪


「2人共こんにちは♪ 私はミナちゃんのリュックです♪」


「「えっ、えぇ〜っ!?」」


 ミナちゃんのリュックに魔法をかけ終えてからしばらくして、ミナちゃんのリュックはまるで頭を下げるかのようにお辞儀っぽいポーズをしながら私たちに挨拶をしていたの。


「わ~い、やった☆! わたしのリュックがしゃべった♪」


「嘘、本当に!? 私の魔法でミナちゃんのリュックが喋られるようになったの!?」


「はい、本当です♪ アリシアちゃんのおかげでリュックである私は無事に喋ることが出来るようになりました♪」


「そうなんだ……。ということはもしかして……、私の魔法は無事に成功したってこと……?」


「はい、その通りです♪」


「そうだったんだ……! 良かった……! 魔法が無事に成功出来て本当に良かった……!」


「アリシアおねえちゃん、やったね♪」


「うん☆!」


「「イェ〜イ☆!」」


 一か八かで行った魔法はどうやら無事に成功したみたいで、私はその嬉しさからちょっぴり涙を流したりしながらミナちゃんと一緒にハイタッチをしていたの♪


 今まで失敗が多かったこの魔法だけど、今回見事に成功出来て凄く驚いた反面とっても幸せな気持ちだよ♪ きっともしかしたら、ミナちゃんのために頑張ろうと思ったその強い意志のおかげかもしれないね♪

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