息抜きの小ネタ

冬夜ミア(ふるやミアさん)

インスタントフィクション 見えないもの

 僕は目が覚めた。

 何をもって見えるかは知らないが、色を知っている。

 そこで黒い瞳が蠢いていることを。


 目を閉じてみた。

 何もないという事は分からないが、確かにそこに何かがあると理解できる。

 きっとそれが存在するということなのだろう。


 瞼が重い。

 眠るという行為に何の意味があるかは解らないが、それが設定だと理解した。

 恐らく死ぬときも同じとみた。


 目が開かない。

 夢が何か見たことが無いが、多分現実とそう変わりはないはずだ。

 だって、自分の存在を隠し切れないから。


 目の前に僕がいる。

 終わりがどこから決まるか誰も教えてくれないが、もう自分には先がないことを。

 でも、まだ自分は確かに生きている。


 生きているけど、死んでいる。

 矛盾と曖昧は見えないものと知っていても伝えたい。

 見えないものも確かにそこにあると。

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