第12話 五月親衛隊にも派閥がある
◇一方その頃。札幌の川沿いにある五月親衛隊の基地では今後の方針を話し合う会議が行われていた。
「私はモブ•クリスティーナ。名前は覚えてもらわなくて結構ですよ。どうせ使い捨ての人ですから」
「あなた誰に話しかけてるのよ?」
私は将来シスターとして五月様の結婚式を見守りたい。
純白の羽が背中に生えているただの一般人だ。
私は五月様の幸せを願っている。一樹という坊ちゃんとくっついて幸せになるなら、それでいいじゃないと。だから私は穏健派と呼ばれている勢力に所属している。五月様と坊ちゃんの交際を応援している人達だ。
「集まったわね。皆の衆。今からこれからの方針を決める会議を始めるで候」
五月親衛隊の今後を決める重要な会議だ。気を引き締めないと。
「んで、何を話すんだよ」
八乙女翔太という男が質問。それに対して司会者がこう答えた。
「今回の議題は穏健派か過激派なのかをお互いに暴露する回よ」
思ったのだけど、こんなことしても余計に派閥の溝が深まるだけなんじゃないかって。口が裂けても言わないけれど、何の意味があるのだろう。
「まずは言い出しっぺのあたしからね。拙者は最初、過激派であったが。先の戦いで思い知ったの」
そう切り口を切ったのは今回の司会者、マリオ•重国。五月親衛隊の穏健派で侍に憧れているオカマである。最近日本に帰化したらしい。
「あたしは彼と一戦交えて、気絶しちゃうほどの発勁を食らった時思い知ったの。あの人は五月ちゃんに相応しい人物で候と。拙者は彼を五月ちゃんと結ばれる事をサポートしたいわ」
うん、語尾と一人称を統一してほしい。二重人格だと思われても知らないよ?
「僕は過激派だね」
次に口を開いたのは自称恋愛導き師、詐欺師。八乙女翔太。詐欺を働いてる事は確実だが、家の力で揉み消してると噂の。
「五月と一樹がくっつくと僕の立場があやゆくなるからね。五十嵐家に力がある以上ね。無論過激派さ。なんなら一樹を事故に見せかけて消そうとも考えている」
さっきの発言録音しとけばよかった。警察に突き出せたよ今の発言。
過激派。五月様を神と崇め、五月様に寄り付く男達を密かに消しに回っている連中だ。
「俺はどっちでもいい」
最後にピーマンが発言した。人間サイズほどのピーマンで、細い手足が生えているピーマン。一応、五月親衛隊の幹部である。
本人曰く、突然変異体らしい。確かに人間サイズの喋るピーマンなんて見たことないけども。
「やはり過激派の連中とは相容れないわね。今ここで消してやるで候」
「どけっ! 僕は五十嵐五月のお婿さんだぞ!」
「ふざける場ではないぞ。争いはやめろよ!」
存在自体がふざけてるピーマンには一番言われたくない言葉である。だが、言ってることはごもっとも。
このあと一騒動が起きたりして、五月親衛隊は穏健派と過激派に別れた。
「ピーマン、小坂一樹をやってくれ。報酬は魚肉ソーセージ三本だ。やってくれるよな?」
「おうよマスター! IQ1億の頭脳で俺が潰してやるぜ。小坂一樹を!」
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