クソゲー転生記:滅国回避への道
ダブルミックス(doublemix)
第0話 プロローグ
「――来たか」
見据える先には燃え盛る城があった。
それは貴方が今まで過ごした城だ。
この悲劇が起きてしまったことを貴方は後悔している。
「~~様。準備が整いました」
1人の兵士が膝をついて、何かの準備が整ったことを告げた。
「……よし。出るぞ」
貴方は振り返り、その兵士の横を通り過ぎた。
「やってやる。必ずな――」
貴方は覚悟を決めて歩みを速めたのだった。
◇ ◇ ◇
「…………あれ?」
俺は今草原で寝転がって昼寝をしていた。
いや買い物に行こうと外出したはず……。
寝起きで働いていない頭をフル回転させ、今の自身の状態を確認する。
「……マジかよ」
今の俺、つまりこの世界に生まれて10歳にして、異世界転生をしたという重大なことを思い出した。
元の世界の俺は20代の新卒社会人。
休日の昼間、趣味のゲームの合間に買い物に出たのだが、そこで車に轢かれてしまって……。
「異世界転生……。まさかそんなことになるなんて……。しかもあのクソゲーの世界じゃないか!」
そう。この世界は元の世界で一時期流行ったネットゲームの世界だったのだ。
しかもクソゲーとして流行ったネットゲームの世界だ。
10年間この世界で生きてきたから間違いない。
どのようなゲームかというと、5つの大国に囲まれている小さな国に生まれた王の息子が、父親が亡くなった後に国を守り、経営していくゲームだ。
一見国家経営ゲームのように見えるのだが、なんと序盤で必ずゲームオーバーになってしまうのだ。
「俺も挑戦したんだけどなぁ……」
そのゲームの第一のイベントである父親の死。
ゲーム主人公の息子が新しい王となるのだが、そこで隣接している国が攻めてくるのだ。
自分の国が滅んでしまうのを防ぐことが第一イベントのクリア条件なのだが……。
そのイベントがどうやってもクリアできないのだ。
様々な選択肢を取っても国が滅んでゲームオーバーとなってしまうのだ。
これは開発者側の問題であった。
すぐに修正されるかと思われたが、無料のゲームということもあり、すぐにゲームの販売、サービス共に終了してしまったのだ。
運営側は修正次第販売再開すると公言したが、再び日の目を浴びることはなかった。
「そのゲームの世界に転生してしまうとは……」
ここで1つ重要なことがある。
それは俺がゲームの主人公ではなく、その弟であるということだ。
ゲームとこの世界の10年を合わせて考えてみよう。
俺は起き上がり、自分の家である王城に向かって歩き出した――。
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