第16話 女子会&男子会。温度差の凄さ
11/25の夜。女子2人は朔の両親に説明して夕食を食べると朔専用の部屋に戻る。基本的に身内のみ出入りが許可されており、朔の嫁の2人も漏れなく入室、滞在が許可されている。避難所のスペースより遥かに過ごしやすいので朔の両親も誘ったが断られてしまった為に2人で戻ったのである。
「はぁ......嬉しいけど複雑だなー。私......最低な奴だよ............サーシャにも......前に酷い事言っちゃったしね......本当にごめんね」
直ぐに朔に乗り換えるなど、ブランに暴言を吐いた事などを振り返り、最悪な人間だと自己嫌悪し改めてブランに謝罪した。
「......しつこいよ」
「っ......ご、ごめ」
「もう良いって言ったんだからさ......過去は消えない、変えられない。ありがちな事を言うけど未来は変えられる、まだ決まっていないのだから!反省を活かすのよ!............私も未奈の事を邪魔者だと思った事......あるんだ、私達似た者同士よ。今では未奈の事も大切な仲間......いや、家族かな!......と思っているのだから!愛は未奈にもちゃんと与えるよ......」
そう言うとショゲてる未奈を抱きしめて身長差の暴力で包むブラン。
「あ......ああ......ありがとう......貴女は本当に立派よ。でも抱え込まないで、朔から聞いたわよ。私も愛を与えたいから自殺なんて考えないで......」
涙を流しながら未奈はブランの顔に手を添えた。なんかその場の流れで2人はキスをする。
「んっ......普通の時にキスしたの初めてだね......」
夜3人で乱れていると頻繁にそう言う事はあったが2人きりでこう言う時間も無かった。
「そう......ね。まあ朔は2人も愛し合え。自由にイチャイチャ出来る程関係が発展すると嬉しいって言っていたし気にしなくて良いんじゃない?まあ後から言えば良いしさ......私バイだし」
「いや、朔と貴女で色々やってきたのだから今更じゃない?私達が両刀なのは分かりきっているでしょ......してきた事を思い返すと私達全員変態ね......」
「詳しく言うのはやめよう。恥ずかしい......」
珍しく未奈の方が恥ずかしがる。
「......可愛い、暇だしさ............」
女子達の夜はまだまだこれからだ。一方男子2人は。
――――――――――――――
「いえええい!!!俺達なら周囲のゾンビ全滅させれるぜぇ!!!」
「うおおおおお!!!おれらはむてき!」
2人は駐屯地付近のゾンビが溜まっていて困っている場所などを教えてもらい血みどろになりながら処理をしていた。現在は大宮駐屯地の近くにあるニタリと言う家具屋の中のゾンビを小谷の咆哮で呼び寄せ処理している。
「局所パンプアップ!マッスルパンチ!」
殴る瞬間だけ第二形態になり、踏み込む足、殴る手だけ筋力を増加させてエネルギー効率をアップさせている朔。精神状態が安定しているのでふざけている、その潰したゾンビは誰かに愛された家族だという事を忘れて。
「うがあああ!!!俺に攻撃はとどかんんん!!!」
薬の効果で脳のモヤが晴れて正気になった小谷は圧倒的な巨体と防御力で無傷で一方的にゾンビを蹴散らす。人外的な力で出てくるゾンビ約100体近くを倒す。
「ふぅ......お疲れ。悪いけど火葬して衛生面の向上を図りたいらしいから死体を集めて積んでくれ。俺は中に残った奴を探して居たら始末する、この目になってから暗闇も見えやすくなったからな」
「まかせろォ!」
そう言うと道路の真ん中にゾンビをぶん投げていく小谷。それを見てから完全第二形態に一応変異しニタリに入る。
「さて......おーい!美味い人間がここにいるよー!食べるチャンスだぞー!!チャンス〜!......はぁ、馬鹿広いからキツ」
そう叫ぶが反応がない。ニタリの中は腐敗臭が酷く家具や生活に便利な物を持ち帰るのは不可能だなと朔は思いながら歩いて色々通っていくと在庫保管庫付近に辿り着く。
「おお......ここの中にゾンビがいなければ持ち帰れる綺麗な家具があるかも!......誰かいるか?じゃあ元の姿に戻るか......」
そう思い話しかけて扉を殴るが反応が無い。
「反応が無いな!外から開ければ臭いは大丈夫か?でも腐敗臭ってすげー残るからなぁ。俺も真夏に部屋のゴミ箱に大量の鼻血とタプタプに滲みたティッシュを放置して婆ちゃん家に行って帰ってきたら部屋が地獄絵図になっていたからなぁ......婆ちゃん達生き延びてるかなぁ............」
と作者の経験を代弁しながら外に出た。
「おおー流石小谷!仕事が早いな!」
「よゆう!そっちは?」
「多分使える家具があるから一緒に外から開けて、俺達は汚れているから触らない様にしよう」
「おっけー」
どしんどしん走って一階の倉庫に入る扉まで来ると小谷のパンチ1発で扉周りの壁ごとぶち抜いた。
「すげぇ力......俺らが麻痺しているからかもしれないけど中は臭くない......?」
そう言いながら少しだけ入って臭いを確認する朔。
「入れないからしらん」
「それもそうか、無線で通信するわ」
ニタリを制圧した事と使える家具があるかもしれない事、2人とも血塗れなので洗浄が必要な事を伝えた。
「了解。早朝にそちらに部隊を送る、君たちは正門まで戻って来てくれ。ご苦労様です。以上」
「こちらアイギス、まだ動けます次の場所の指示をください。どうぞ」
「こちら大宮駐屯地。人員不足の為、これ以上の行動は不要です。感謝します。以上」
(一般人なのに自衛隊の無線の話し方そこそこ知ってるんだ......オタクだなぁ)
「分かりました、以上」
そう言うと通信を終えた朔。
「で?」
「あちらの人員が足りないから仕事増やさなくて良いって〜燃やすのもあっちがやるらしいから本当に死んでいるか確認した後に正門で俺らの洗浄だって」
「ぞう゛か......でもどうする?あたまを引きちぎっていくか?」
「んー千切ると処理するものが2つ増えるしなぁ......ってまた野良ゾンビが集まって来たよ......俺あとどのくらい戦えるかなぁ」
「さくはやすめ」
「ありがたいね、それよりツッキー呼びじゃないの?」
「......おまえも俺を
「意識あったのか?なら俺も一呼びでいいか」
「うっすら......いや、違和感あるからいつも通りで、それが幸せ」
そう言いながらゾンビを薙ぎ払う小谷。
「そうか、まあ仲良い奴でも俺は下の名前で基本呼ばないしな......やっぱ量が多いよ俺も手伝うっ!」
そう言うと足を膨らませ跳躍し、小谷によじ登るゾンビを全て蹴り飛ばす。
「わるいな!......ゾンビの野犬も来たぞ、ふつうの感せん症が怖いな」
「それ言ったら俺らもう死人の腐り気味の血に塗れているよ......待って、犬ってどうやって倒すの!?相手した事無いんだけど」
「退いてな!」
小谷は寝そべり転がり犬をプチプチ潰していく。
「うわぁ......洗浄の人頑張ってくれ......」
(にしもゲームでも映画でもこんな展開無いなぁ......小谷が正気に戻ったところで1が終わって何年後とかを舞台に続編で2が出る事は多いからなぁ......ナンバリングの1と2の間のストーリーはDLCか番外編だから困る......これじゃあ俺の知識は無意味だ、なんせ設定だけしか無い期間に突入した様なものだ......)
そうやって色々考えていると汚れ(肉片)を落としてきた小谷が近寄ってくる。
「終わったぞぉ?だいじょうぶか?」
「ああ、ありがとよ......そういえばお前って本能変異体で理性がない時の記憶あるの?」
「ないぃ。最初に朔と戦ったきおくも無い、言われて知った」
「へぇ〜......そういえば............何食べて生きていたの......?」
「やめろ」
そう話していると正門に着く。後付けの見張り台の自衛官が反応して洗浄する人達と煙草が到着し30分かけて洗った。
「ありがとううう!」
「あ......いや、気にしないで」
小谷に怯える自衛官。
「引き続き悪いが外にいてもらう。何か欲しい物はあるか?」
煙草が小谷に質問する。
「食べ物......あとスパムとコーラ!」
「よし!わかった!冷えているから楽しみにしておくと良い!スパムは......あるかわからないから確認する」
「ありがとう......ございいまあす!」
「何本飲めば良いんだろうね?」
「......しんちょうが大たい2.5倍無いくらいだから......多分そんなにいらない?」
そう話していると冷えたコーラ24本箱ごと持って来られるのと、夕食の配給の残り全てとスパム数缶を運んできた。
「これで足りるだろう......また血液や唾液を取るが大丈夫か?早く君も感染させない個体になると良いのだが......まあ君が体液をばら撒いたりしなければ大丈夫な気もするが、油断はポストアポカリプスな世界では死に直結だからね」
「外でも大丈夫ですぅ......わるいがスパム開けてコーラ飲ませてくれ朔」
そう言うと隊員達に唾が飛ばない様に離れてから、朔が口にゆっくり流す。
「俺も一本貰うわ......ぷはぁ......やっぱり冷えてないとなぁ」
「ああ!美味い!」
小谷が喜んでいる姿を見て朔はまた後悔と自責の念に駆られる。
(俺が致命傷になる場所を刺さなければ......こんな不便な事にはならなかったんだよなぁ......俺がもっと信用していたら......)
そう沈んでいる所を気づくのが小谷と言う男。変異しても性格は歪まない、DV気味な時期が無ければ完全に聖人な人間。
「お前がきにする必ようはない。俺の作戦が悪かった、自分をセめるなぁ!」
「良い奴だよお前は......DV気味な時期が無ければな」
「......」
「まあ反省してんなら良いだろ......被害者が責めないって言ってんだから」
と色々話していると夜が明ける。正門に座っていた2人のところに煙草が来る。
「おはよう、朔君は不眠症だからと言って起き続けない様にな。それと小谷君、君から感染する事は無い!初の本能的変異体から理性を取り戻した個体で、理性的変異体第5号だ!おめでとう!中に早く入りたまえ!」
「ほ、ほんとうっすか......こんなに変わっても大丈夫......?なのか?」
「肉の塊に手がいっぱい生えている人が大丈夫な例があるし気にすんな!俺らはウイルスが細胞に入って融合して変異したらしいぞ、ミトコンドリア的な奴だな!だから安心して中で過ごせる!......建物には入れないから雨を防ぐ物はいるなぁ」
(やっぱり、こいつは主人公みたいにイレギュラーを起こすなぁ......そうなると俺が悪役やんけ......)
「いや、それよりもだな......そのぶら下げているモノを隠す大きな服が必要だ......だが、君達の戦い方では服がすぐダメになってしまうから全裸かパンツで戦ってもらうしかないな......」
「ああ......あまりふれられないから忘れてい゛た......」
「
「取り敢えず、布やいらない衣服をつぎはぎで作るとしよう......それまで悪いが手で隠しておいてくれ......」
「うっす......」
「まあ、取り敢えず博士と面談だ。朔君と同じく個体名やらをつける必要があるからな」
そう言われて中の外で話す事になった。女子2人も来た。
「元気ー?」 「大丈夫ですか?」
「げんき!だいじょうぶ!」
「なら良かった......」
「よし小谷君!君はシンプルに大きいからタイタンや読み方違いのティタン、それとギガスなど色々あるぞ!ちなみに個体の名前は神話関連で揃えている」
「んー......朔が決めてくれ、クわしいだろ?」
「俺!?......サイクロプスと言う巨人が作ったゼウスの武器ケラウノスはどう?俺のアイギスってのもゼウスがアテナに与えた盾だし、俺と共通点もあるし巨人も関連してるよ!あと雄叫びも雷鳴が轟いている様だし!」
「イカしているな!じゃあ、俺はケラウノス!」
「ほお......神話好きなんだねぇ。じゃあそうするかね、第5号はケラウノスと書類に書く。仲間の自衛隊にも通達させよう、皆喜ぶだろうな。この駐屯地から2人の攻撃タイプの理性的変異体が誕生したのは」
「朔君が説得という大胆な手段を取ったからですな、大手柄だぞ!首相サイドに何人変異体がいるか全くわからないが有利だ!」
「いや、あの首相の事だ人為的に作っているだろう......何故なら奴がばら撒いたんだからな......」
小谷襲撃で聞けなかった真実が突然ポロりとサイモンの口から溢れる。
「「「「は!??」」」」
「ああ......そうだ言い損ねたな。マッチポンプだ、中国の金に目が眩んで共謀してな。Judgment-Virusをエボラ、エイズ、狂犬病などを弄って開発、感染させた浮浪者達を野に放ち緩やかに広めさせてそれを中国製の薬で早期に解決して政権の支持率をあげるつもりだったんだ。だが、自ら変異する速度が速い様に作ったのが最大の失敗だった。奴らの想定を超えた変異で薬が効かず収拾がつかず、挙げ句の果てには感染を広めないために民間人殺しを命じ、北海道でぬくぬくしておる。私は感染しアメリカ軍に捨てられた身だから自衛隊と協力し、世界にその証拠を突き付けて支援や救助を頼むつもりだったんだ......」
「だが、アメリカは早々に裏切り国に戻ってしまった。そしてアメリカ中にウイルスは蔓延、そのままそこの大陸は完全にゾンビに支配された。まあ君達の様な抗う者もいるだろうから全滅はしていないだろう。そしてまだまだ奴らは愚かだった、中国は隠蔽しようと足掻いたが失敗。政権打倒と反乱が起きた......そして奴らは本当に馬鹿だ、Jウイルスを自国民にばら撒いたんだ。結果は言わずもがなだ。何を思って鎮圧できると思ったんだか......奴らは飲まず食わずで2週間生きる、そして捕食すれば人間より効率的にエネルギーを使い活動する......中国の人口の多さが仇となったな」
衝撃の事実を大量に浴びせられた4人は言葉を失う。
「......なんで首相の言う事を聞き続けている派閥がいるんですか?」
と朔が質問した。
「わからない......奴らは何か対価を貰えるのか、忠誠心だけで動いているのか定かでは無い......だが、人工的に理性的変異体を作る事に成功していたとするなら......それが報酬かもしれないな。私だって朔君と小谷君の力を見ていると羨ましく思う」
「まあ......確かに。俺もこんな風になれたのは嬉しいっすね......目も悪くなるどころか視力も上がっている気もしますし暗闇も見える様になっていますから」
そう話している間にデータとしてメモに書き続けているサイモン。
「おれは......守れる力ができたのはうれしいが......縮みたい......」
小谷がここに来て初めて悲しげな顔をし、煙草は失言したと焦る。
「す、すまない、軽はずみな発言だった......申し訳ない。可変出来るのは現状朔君くらいなんだ......」
最後についまた余計な事を言ってしまうが小谷は怒らずに、
「いえ......憧れは止めれるものじゃないです......から!」
色々と我慢した笑顔にサイモン以外は心を痛めた。
「......大の大人の私が気を遣われるなんてな。君は優しい人間だ。我々は全身全霊で君達を守る、私の命に誓ってな......」
「互いにがんばりましよう!」
こうして小谷は完全に仲間として戻ってきて一行はまた同じメンバーになった。だが小谷の欠点が見つかった。それは睡眠だ、一日中起きて一日中寝るを繰り返している様で、この会話の後に布を引かれた外で眠りについてしまった。今は長距離移動は無理と朔は判断し駐屯地に暫く残る事を選んだ。
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