第3話

エリスがページをめくる手が次第に速くなると、本の中の文字とイラストがひとつの流れとなり、彼女の周囲に溶け込んでいく。突然、彼女の視界がぐらりと揺れ、本のページの中に吸い込まれる感覚に襲われた。エリスは目を閉じると、まるで波に乗るような感覚が全身を包み込んだ。


彼女が目を開けると、周りはまったく違う世界に変わっていた。青々とした空が広がり、柔らかな光が照らす草原の中に立っている。風が草を揺らし、彼女の髪もそよ風に吹かれて揺れている。エリスはその新しい風景に圧倒され、足元の草の感触を確かめるようにそっと踏みしめた。


目の前には美しい森が広がり、その木々は天高くまで伸びている。小川が優雅に流れ、透き通った水の中には色とりどりの魚たちが泳いでいる。エリスは興奮と驚きの入り混じった表情で、まるでその森の中に迷い込んだかのように歩き出す。彼女の目は好奇心に輝き、まるで夢の中の出来事を現実のように感じている。


彼女は森を進むにつれて、花々の香りや鳥のさえずり、そして小川のせせらぎが一体となって心を癒す。これまでの本の中の世界が、今や彼女の目の前に広がっていることに不思議な感覚を覚えながら、エリスはその美しさと静けさに心を奪われている。

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