coup de foudre
瞳に星が輝いている、と思った。
その星は闇に閉ざされた僕の世界を、液晶越しに照らしてくれた。
――もうすぐ、星に手が届く。
***
2043年。2020年代から進められてきたゼロカーボンシティ構想が各国で完成し、脱炭素化・脱車社会のムーブメントによりモータースポーツのトレンドはエンジン車中心のF1からEV車によるフォーミュラE(FE)へと完全に変遷した。
「もはやモナコはレーサーの殿堂ではない」と叫ばれる中、F1に超新星が現れた。
その名は
18歳でデビューした彼は出場するレースでことごとく優勝しライセンスポイントを獲得し続け、デビューからわずか2年、20歳という若さでスーパーライセンスを交付された。
彼がF1レーサーとしてグランプリに参加するのは今回の日本GPからだが、既にその人気は盤石なものであった。
ヨーロッパ系らしい彫りの深い顔立ちにそばかす、ストロベリーブロンドの髪、紫の目という特徴的なビジュアル。スラリと伸びた手脚。デビュー戦から全戦全勝という輝かしい戦績。
ブルゴーニュの葡萄畑を自転車で走り回っていた所をスカウトされたというマンガの主人公めいた経歴も相まって「
しかして、その素顔は――
『はあ……今週の「カグラハバキ」もサイコーに面白かった……
――
『ストーリーもそうだけどマンガがうますぎる!連載初期の荒削り感も良かったけど今の感じも好き……ホップストアでグッズも買えたし、紙でホップ読めるし、楽園って日本のことだったかもしれません』
『相変わらずクサい言い回しするなぁお前。言ってて恥ずかしくないの?』
『ダハハ!ディーはJapanimationオタクだからな!』
タブレット端末からはフランスにある「スペクターディープ(S.D.)」のファクトリーにいるチームメイト、シモン・トゥルエノとマッツ・トルクセンの声が聞こえる。
2043シーズンからはレーサーの負担を軽減するために所属レーサーが交代でグランプリに出場するようルールが改正されたため、S.D.に所属するレーサーは日本GPチームと翌週に控えるバーレーンGPチームの二手に分かれているのだ。
『悠長にマンガなんか読んでていいのか?F1にはアイツがいるんだぜ?』
マッツの言葉にディーの表情が変わる。
『マツリカ……』
ハンダクライマックス・ギア・ライナーズ(CGL)所属の
2043シーズンにエントリーするレーサーの中で唯一の日本人レーサーであり、長いF1の歴史の中で2人目にグランプリを獲得した女性レーサーである。
『ああ。一時期低迷してたが、2年前にマシンの設計者が変わってからは表彰台の常連になってる。
『虎……僕の北極星……』
深刻な声色のマッツをよそに、ディーはロック画面――表彰台で太陽のような笑顔を浮かべる茉莉花の写真を眺めながらうっとりと呟く。
『あー、そういやテラスに憧れてレーサーになったんだっけなお前。F1デビュー前からずーっとテラスと戦いたい!って言ってたし』
ディーが茉莉花を知ったのは12年前。年齢を(大幅に)偽って登録したスキャッターのタイムラインに偶然流れてきた
スキャットには茉莉花が
[マツリカ選手、初めてのグランプリはどんな気分ですか?]
[いやー、サイッコーの気分だねヤロー共にオレのケツ舐めさせるのは!]
まだ茉莉花がF1に参戦する前、
アニメとゲームにしか興味がなかった内気な少年は、その日を境にF1グランプリに憧れるようになったのだ。
『彼女がいなければ一生レーサーなんて知らなかっただろうし、なろうとも思わなかった。まさに僕の光、サーキットの女神……』
『女神ぃ?魔女の間違いじゃなくて?』
茉莉花はインタビューでの粗暴な言葉遣いと荒々しい走りから「サーキットの魔女」の異名で知られている。
彼女を恐れるレーサーは多いが、恋焦がれるのはディーぐらいだろう。
『彼女がスーパーライセンスを掴み取るまでの血を吐くような努力と苦しみを知ったら、とても魔女だなんて呼べないですよ。あの鍛え上げられていながらも無駄な凹凸のない肉体といったら、まるでF1マシンそのもの!』
『……なあ、ディー。お前ちょっとテラスに執着しすぎだよ。レーサーとしても、男としても』
茉莉花について熱っぽく語るディーに、シモンが苦言を呈する。
『考えてもみろ。お前は20、テラスは32。どう考えてもお前よりテラスの方が先にレーサーを引退する。お前はテラスがいなくなってから、何を目指して走るつもり?』
『そんなの、その時考えれば――』
シモンに反論しようとした矢先、ディーの目にニュースサイトのスキャットが飛び込んできた。
【ハンダCGL照茉莉花、今シーズンでの引退を発表】
『今が「その時」なんだよ、このバカ!』
***
日曜日に行われる最終レースを前に、ディーのメンタルは既に限界を迎えつつあった。
東京から鈴鹿に移動する間にところ構わずサインや写真を求めてくる(あるいは無断で撮影する)ファン。
記者対応の時間を待たずにいち早く「F1の超新星」からコメントをいただこうと押し寄せる迷惑なメディアや動画配信者。
これらの対応をしながら予選レースに臨んだうえで、さらにミーティングや記者対応もしなければならない。過酷なスケジュールだ。
(うう……レース以外のファン対応とかはブライトさんにしてもらってるけど、辛くて泣きそうだ……)
先輩レーサーのブライト・ジュニパーがメンタルケアなどのサポートをしてくれてはいるが、ディーの悩みの種はこれだけではなかった。
【悲劇の若社長に迫る魔女の魔の手
【激写!
コンビニに入れば嫌でも目につく、日本GPのタイミングを狙い澄ましたかのように茉莉花のスキャンダルを報じた週刊誌のド派手な見出し。
【社長に近づくサバサバク●女を礼プしてくれる人募集中〜 こちらイチゴより出せますのでDMください】
【イケメン社長とデキ婚引退とか強者メスは人生イージーモードだな 腹パンしてぇわ笑笑笑】
気晴らしにスキャッターを開いても、今度は茉莉花の引退についてあることないこと書かれたスキャットが目に入る。
なまじ日本語が読めるせいで、茉莉花に向けられる悪意が理解できてしまうのが嫌だった。
[――マツリカ選手、今シーズンで現役引退するとの報道がありましたが]
ふと顔を上げると、記者対応ブースではハンダCGLの茉莉花とゴーシュ・デュモンが並んでインタビューに答えていた。
[ああ、ホントは去年タイトル獲った時に辞めようと思ってたんだが、ヒーローからラブコール貰っちまったから1年延長したんだ]
[バントー氏が離婚した翌年に氏が代表を務めるYABAI!!Japanがマツリカ選手のスポンサーになっていますが、それと今回の引退が関係しているのでは?]
[バントー社長にプロポーズされたというのは本当ですか?]
[ノーコメント。そんなに知りたきゃ若社長に聞きな]
記者の下世話な質問をいなして、茉莉花はゴーシュに肩を抱かれてブースを後にする。
『あっ……ごめんなさいブライトさん記者対応お任せします!』
居ても立っても居られず、茉莉花の背中を追って走り出す。記者よりもレースよりも、今は茉莉花が最優先だ。
[ティグル!]
初めて相対した茉莉花は、酷く小さく見えた。
[
女性にしては低めなハスキーボイスがディーの耳をくすぐる。
[貴女には、言いたいことがたくさんあって、えっと……僕、ディー・ルーセル・カゲツって言います。どうかディーゼルと呼んでください]
[知ってるし呼ばない]
[えっと、カゲツはジッチャン、僕を拾って育ててくれた人の名字で、ジッチャンは日本人で、貴女もおじいさんのためにレーサーになったって聞いたからシンパシーを感じていて、その……]
ディーの要領を得ない話しぶりに、茉莉花がため息をつく。
[言いたいことはそれだけか?そばかすボーヤ]
茉莉花がディーを上目遣いで睨みつける。50cm近く身長差があるのだが、その威圧感にむしろディーの方が気圧されていた。
[本気なんですか。レーサー、引退するって]
なんとか声を振り絞って質問を投げかける。
[……ああ、マジだぜ。スポンサーやらお偉方がオレとアンタと戦わせたがってたから引退を延長したが、元々30過ぎたら引退するつもりだったからな]
[バントーの社長と、結婚するために?]
[イケメンの若社長と玉の輿だぜ?女としてこれ以上のハッピーエンドはないだろ]
会話が途切れ、2人はしばし睨み合う。
[……貴女は強い人です。血の滲むような努力を積み重ね、性別の壁を乗り越えて、男性優位のF1でグランプリを勝ち取るぐらいには。メディアは僕を超新星なんて呼ぶけど、貴女の方が僕なんかよりよっぽど輝いてる超新星です。昨シーズンモナコを制した貴女なら、今シーズンだって――]
[人をバカにするのもいい加減にしろよな]
切実なディーの訴えを茉莉花が遮る。先程までの小馬鹿にしたような調子から一転、語気には怒りが滲んでいた。
[して当たり前の努力を褒められたところで嬉しくもなんともねえよ。どうしてルール上レーサーに男女の区別がないのに
茉莉花がディーの足を思い切り踏み、睨みつける。大きな瞳にはうっすらと涙の膜が張っていた。
[アンタの産まれた
[もういいジャスミン。とっとと行こう]
ゴーシュに宥められ、茉莉花はサーキットに向かう。
[いいこと教えてやるよ。超新星ってのはな、星が死ぬ間際に遺す最期の光なんだぜ。そばかすボーヤ]
去り際、そう言って茉莉花は笑った。
ディーが恋焦がれた太陽のような笑顔ではなく、何もかも諦めたような笑顔で。
[待って、ティグル――]
呼び止めようと伸ばした手は、茉莉花には届かなかった。
***
日曜日、日本GP最終レース。
S.D.のマシンは2台ともテストをクリアし
『ディーゼル、魔女に気を取られるなよ』
マシンに乗り込む直前ブライトに言われた言葉が、胸の奥で鉛のように重くわだかまっている。
(ブライトさんの言うとおりだ。マツリカ以外にも気をつけなきゃいけない選手はたくさんいる。でも……)
『……僕には、ずっと貴女しか見えてないよ』
シグナルが青に変わった瞬間、マシンが一斉に飛び出した。
先頭を走るディーの後ろにセナ、ゴーシュ、茉莉花の2位集団がピッタリとつけている構図だ。
(マツリカ……本当に、バントーの社長と結婚するつもりなのか?間違いなく今がレーサーとしての絶頂なのに、どうしてあんなことを?どうして――)
[コース取り甘いぞヒーロー!何やってんだ!]
無線から聞こえる声でディーは我に返る。
レーサーはレース中ピットと無線で通信することができる。無線での通信内容は公開されるため他選手へのブラフに用いる選手もいるが、今のようにピットからレーサーへ指示を出すことはルール違反を疑われるため通常行わない。
(つまり、今の僕はピットから分かるぐらい平静じゃないってことか……情けない)
今までも茉莉花のスキャンダルは何度か見聞きしたが、レース中にこんなに心乱れることはなかった。
(やっぱり、マツリカの口から引退って言葉が出たのが思ったより堪えてるのかもしれない)
精神が参っていても体は積み重ねてきた経験を忘れない。精密に、マシンの一部のように動く。
沈む心とは裏腹に、紫のペイントが施されたマシンは後続車を突き放していった。
[調子を取り戻したようだなヒーロー!だが、マシンの方はそろそろお疲れのようだぜ?]
[ああ……分かった、ピットインする]
F1レースは44
ピットインしている時間もタイムに含まれ、ここで順位が変わることも少なくない。
『順位は?』
『帝王はオマエだ。依然、変わりなく。魔女から逃げ切れよ!』
タイヤ交換に要した時間は僅か3秒。後ろを見る余裕もなく、ディーは再びサーキットに滑り出す。
現在のラップ数は16。このまま28ラップ同じペースでいけば夢にまで見たF1グランプリだ。
(……でも、グランプリを取ったら、マツリカは僕の前からいなくなってしまう気がする。マツリカが他の男のものになるのも、サーキットからいなくなるのも、絶対に嫌だ)
ふと、無線から笑い声が聞こえるのに気づいた。甲高い、引き笑いのような声。
(これが、みんなが言っていた「魔女の高笑い」。ピットアウトしたあたりから、マツリカは魔女のような笑い声を上げる。そして――)
サイドミラーに一瞬白が映る。エントリーしているマシンの中で白いペイントが施されたマシンはハンダCGLの「マーキュリー2040クライマックスギア・ハンダ」しかない。
(笑い始めたら、後ろから一気に追い上げてくる!)
ディーのマシンがコーナーで大きく膨らんだ隙を突いて、白いペイントのマシンがコーナー内側を抉るように滑り込む。
(このギリギリを攻めるコーナリング……間違いない、マツリカだ!)
1度目のピットインまではセナが後ろにいたはずなのに、そこから10ラップほどで2台も追い抜いたのだ。
(今ピットインすれば絶対に追い抜かれる。でも、ピットインしなきゃタイヤが保たない……!)
[っ、タイヤが限界だ。ピットインする!]
[オーライ、マッハで済ませるぜ]
2度目のピットインでタイヤとマシンのコンディションを調整し、ピットレーンを出る頃にはすでに茉莉花のマシンははるか前方にいた。
『追いかけられるのは慣れてるけど、追いかけるのは初めてだな』
心臓が高鳴る。頬が紅潮しているのを感じる。圧倒的に劣勢であるはずなのに、どこかで茉莉花に抜かされたことを嬉しく感じている。
(感じるよマツリカ。貴女の存在を、視界ではなく魂で!)
前方を走るマシンを睨みつけ、0.01秒でも速くとハンドルを切るが、車間距離は一向に縮まらない。
マシンの向こうに茉莉花の小さな、それでいて凛とした背中が見える気がした。
(ああ、罵詈雑言を好き勝手書き散らす奴らに、魂で抱き合うようなこの感覚を知らない男に、貴女を渡したりするもんか!)
前を走るマシンのスピードが落ちる。その隙を見逃さずに一気に距離を詰めようとアクセルを踏み込んだ、その時。
「――神様」
無線から日本語が聞こえた。
「ヒー、ヒューッ……神様お願いします……カヒュー、ハ……私を……カハッ、サーキットの、ゲホッ!魔女の、まま、ヒッ、ヒーッ……死なせて、ください……」
(「魔女の高笑い」は、笑い声じゃなくて過呼吸の音だったんだ。じゃあ、マツリカはレースの度に限界まで酷使してたのか。身も、心も……)
魔女と呼ばれた女の祈りを、叫びを、ディーだけが聞いていた。
(なんて人なんだ、マツリカ。不調をライバルに気取らせず、閃光のような走りだけを魅せ続けていたなんて!水面下でもがく白鳥のよう!)
最終コーナーを曲がってラストの直線コース。
(今すぐ貴女を抱きしめたい!僕の想いを余すことなく伝えたい!好きだ!愛してる!世界中の誰よりも、貴女は気高く美しい!)
視界が明滅する。興奮で瞳孔が開いているのか、前方を走るマシンが光り輝いて見える。
『最っ高だよマツリカ!我が愛しの魔女!』
ディーが笑顔で叫んだ瞬間、チェッカーフラッグが振られた。
**
レース後のマシン計量を終えて順位が確定した。
『負けた……』
デビュー以来初めて味わう敗北だ。
(そうだ、マツリカは!?無線で聞こえただけでもかなり苦しそうだったけど……)
前方に視線を向けると、茉莉花はピットクルーにマシンから引きずり出されるような様子だった。
(自力で立てないほど消耗してる。あの様子じゃ表彰台に立つなんてとても――)
[ヘイ!ヒーロー!我らがプリンセスジャスミンを表彰台までエスコートしてもらえるか?]
立ち尽くしていたディーに、ハンダCGLの白いユニフォームを着たピットクルーが声をかける。
[僕でよければぜひ。でも、いいんですか?]
ディーが怪訝そうな表情を浮かべると、クルーたちはニヤニヤと笑いながら答えた。
[さっき思い切り叫んでたろ?『
[あ……]
F1のルール上無線を使った会話は公開される。
つまり、コクピットでのディーの叫びは全チーム、ひいては中継で全世界に聞こえていたというわけだ。
[プリンセスのエスコートは、ヒーローの役目だろ?]
[……では、失礼します]
ディーが茉莉花をいわゆる姫抱っこの姿勢で抱き抱える。白いレーシングスーツは大量の汗でぐっしょりと濡れていた。
[悪いな……重いし、汗臭いだろ?]
[いいえ。汗に濡れている貴女も素敵です]
[そういうアンタは、こんだけ汗をかいてんのになんか甘い匂いがするな……神様みてえだ]
[
サーキットから表彰台に向かう通路はひっそりとしていて、2人の声だけが響いている。
[……レースの最中、ずっと孤独だと思ってた。選手も、クルーも、周りは外国人ばっかりでさ。無線で繋がってても、いつもひとりぼっちな気がしてた]
茉莉花がポツリと呟く。不安そうに揺れる真っ黒な瞳には、ディーの顔が映り込んでいる。
[ファイナルラップで意識が飛びかけた時、アンタの声が聞こえて嬉しかったよ。アンタは日本語なんてわかんねえだろうし、たまたまタイミングが被っただけかもしんないけど……オレの叫びを聞いてくれる人がいるんだって、安心した]
[ティグル……]
(ずっと、マツリカは強い人だと思ってた。でも違う。弱いところを見せないようにしてただけで、きっと日本語で神に祈っていたのが本当の彼女なんだ)
茉莉花を抱く腕に力を込め、小さな体に有り余るプレッシャーを背負う彼女を抱きしめる。
[誰よりも気高く美しい人。貴女の叫びも、祈りも、全部僕が受け止めます。僕がいる限り、サーキットで貴女を独りにはさせません]
短い黒髪が張り付いた額に、リップ音を立ててキスをする。
[愛しています、マツリカ。全ての悲しみから、憎しみから、貴女を守ってあげたい。だから――]
言葉を続けようと開いた唇に、茉莉花の指が当てられる。
[その先は、オレを倒してグランプリを獲ってから聞かせてくれよな?ディーちゃん]
にっこりと微笑んで、茉莉花がディーの首に腕を回す。
茉莉花とぴったりと密着する体勢に、ディーの心臓はうるさいほど高鳴っていた。
[つまり、僕に負けるまで引退しないってことですか!?]
[なっ……だからってナメたレースすんじゃねえぞ!毎回全力でかかってこいよな]
茉莉花を抱えたまま、ディーは表彰台に向かって一気に駆け出した。冬の柔らかな陽光が、激闘を終えた2人を照らす。
[はい!じゃあこれからもずっと、僕が貴女を表彰台に運びますね!貴女に勝ったら、表彰台でプロポーズさせてください!]
[はあ!?いや、ちょっ、待て!やっぱ今のナシ!タイトル獲ったらに変更!]
シャンパンシャワーとフラッシュの眩い光が、
***
瞳に星が輝いている、と思った。紫にキラキラ輝く、きれいなお星様。
その星は、女として生きるかレーサーとして死ぬか迷っていた私を導いてくれた。
――今、星が私の胸に落ちてきた。
超新星達のコントルダンス 黒井咲夜 @kuroisakuya
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