怖くないビジネスホテル✕3
崔 梨遙(再)
1話完結:1200字
①ビジネスホテルというか、民宿の話。しかも学生時代の話なので古いお話。
知人と4人で夏休みに旅行へ。民宿に泊まった。僕等は枕投げなどして遊んだ。すると、部屋に入って右側、押し入れの方からドンドンドンと音がした。
「俺達がうるさいから、隣の人が怒ってるで」
「静かにしようか」
と言いながら、また少し時間が経つと騒ぐ僕達。また押し入れ側の壁がドンドンドン! また反省する僕達。でも、また騒ぐ……ということを繰り返してから寝た。
「昨夜は隣の人に迷惑かけたな」
「謝りに行こか?」
部屋を出て気付いた。僕達の部屋は右端の角部屋、右隣に部屋など無かったのだ。しかも3階、壁を叩くなど出来るわけがないのだが……僕達は気にしないことにした。
②若い頃、連休を利用した気ままな一人旅。気になった街で電車から降りて、知らない街を歩く。“今日はこの街に泊まろう”と思い、1件しかないビジネスホテルへ。
風呂に入り、しばらく街を眺めてからベッドへ。スグに寝た。
目が覚めた。暗い。夜中だろう。気が付くと金縛り状態だった。もう一度寝よう、起きたらきっと金縛りも解けているだろう。
何故か、下半身がスースーする。ヒンヤリ冷たくて気持ちいい。目だけで下半身を見た。長い髪の頭が上下に動いている。どうやら口でご奉仕してくれているようだ。
“っていうか、あんた誰?”
と思いつつ、金縛りで動けないし、気持ちいいのでそのまま寝ていた。だが、やがて僕は果てた。そこで眠ってしまった。
目が覚めると、ベッドの上に長い黒髪が何本も落ちていた。その黒髪を持って、どこかの研究所で調べてもらったら何かわかったかもしれないが、気持ち悪かったので髪には触れなかった。
③若い頃、連休を利用した気ままな一人旅。気になった街で電車から降りて、知らない街を歩く。“今日はこの街に泊まろう”と思い、1件しかないビジネスホテルへ。
風呂に入り、しばらく街を眺めてからベッドへ。スグに寝た。
目が覚めた。暗い。夜中だろう。気が付くと金縛り状態だった。もう一度寝よう、起きたらきっと金縛りも解けているだろう。以前にもこんな展開があったような気がしたが、僕は考えないようにした。
また下半身がスースーする。“おいおい、またかよ”と思っていたら、浴衣をはだけた女性が僕の上に馬乗りになった。これは完全に夜の営みだ。驚きつつ、金縛りで動けないし、気持ちいいし、そのまま寝ていた。
僕はその女性の顔が見たかった。だが、長い髪が邪魔でなかなか顔が見えなかった。そして互いに果てた。その瞬間、その女性の顔が見えた。
残念! 残念な顔だった。幽霊って、みんな美人じゃないのか?
そこで眠ってしまい、目が覚めるとまたベッドの上に長い黒髪。この髪さえ無ければ“これは夢だった”ということですませられたのだ、残念。その髪を誰かに研究して欲しいと思ったが、気持ち悪いから髪には触れなかった。
まあ、多分、夢だったのだろう。もしくは何かの間違いだ。
怖くないビジネスホテル✕3 崔 梨遙(再) @sairiyousai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます