カッコウ

紫閻-sien-

「ただいま」

母が大変なことになったそう聞き 急いで実家に帰ってきた男


「おかえり」


笑顔で出迎える老年の男性


(やっぱり帰ってきてくれた ほんとにお前は母親が好きだな)


「お母さんが大変なことになったって? 病気? どうしたの?」


母親がいてるであろう寝室に向かおうとする


( ウロウロされると 和室にあるアレが見つかってしまう 早く止めないと)


「あぁ 今は買い物に出てて もうすぐ帰ってくるんじゃないか」


(やばい 上手な言い訳を考えてなかった)


「なんで? 何があったか知らないけど 大変なことになったんでしょ

なのに買い物 ねぇお父さん なんか隠してる? 」


(これ以上 聞かないでくれ・・・・ もう こうなったら)


「そんなことより お前に見せたいものがあってな 」


そう言った父親の手には包丁が握りしめられていた


(ダメだ もう殺るしかない)


《数時間後》 家の前には数台のパトカーと救急車とそして沢山の野次馬が


家の中では数人の刑事と

頭から出た血を止めるためタオルで頭を抑えている父親の姿が


(強くやりすぎて血が出すぎてるな)


そして ダイニングテーブルにはハンマーが

床には息子の死体と傍らには包丁が


「殺すつもりはなかったんです わかってください」


泣きながら立ち上がり刑事にすがる父親


「久しぶりに帰ってきたかと思うと いきなり殺してやるって

カバンからハンマーを出してきて振り回して家内に殴りかかり

私まで殴られて・・・・ これは殺される そう思って

それで思わず近くにあった包丁で・・・ウウッ 」


(今度はちゃんとセリフを考えたからな 後は上手くやるだけ)


父親がチラッと見た キッチンの横の和室

そこには顔と下半身を中心に複数回殴られ

見るも無残な姿になった母親の姿が


(俺を騙したお前が悪いんだ)


顔を伏せて泣くが その顔は薄ら笑いを浮かべていた


(我ながら迫真の演技 あとはあのことがバレませんように)



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カッコウ 紫閻-sien- @sien702

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