われはクローン、否……

加賀倉 創作

第一話『クローン三原則』

————遥か未来のどこかの星で、『クローン三原則』が施行された。



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——クローン三原則——


其の壱『一対の原則』

 人は皆、常に例外なく、自身のクローンの一体を所有し、それら二者を一対とする。クローンが亡くなった場合、新たなクローンを二十四時間以内に再生産しなければ、これを罰する。なお、一卵性の多胎児たたいじの存在は、この原則に反するので、これを間引く。


其の弐『オリジナルの優越』

 オリジナルとクローンの脳は同期されなければならない。クローンは、オリジナルが起こすはずの言動を逸脱せぬよう、毎日二十四時〇〇分をもって、遺伝子共鳴装置いでんしきょうめいそうちにより完全に同期される。なお、同期は常に例外なく、オリジナル側を基準に行われる。


其の参『人権の否定』

 クローンは社会においてオリジナルと表面上同等に扱われるが、人権は認められない。よって、クローンに何らかの不具合が生じた場合、政府はこれをいつでも処分できる。処分に対する拒否権に関しては、オリジナル、クローン共に、これを認めない。

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 人々は皆、自身のクローンを一体、作った。

 仮にクローンを『人』と呼称することが許されるのならば、

 『世界人口は瞬く間に二倍に増えた』と言えるだろう。


〈第二話『繁殖』に続く〉

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