第12話次回より…夏の予選大会開始!
「六月もそろそろ終りを迎えて七月に突入しようとしている。
本日が大会前最後の練習試合だ。
大会までの以降の予定は最終調整に充てる。
本日の練習試合で浮き彫りになる課題や調子を上向きにさせるために努めることになる。
他にもメンタル面の強化という名の調整。
日々行ってきたつもりではあるが…
しかしながら今年のチーム事情を鑑みてもメンタルトレーニング不足であったことは否めない。
今年のチームメンバーは必然的に一年生が多い。
夏の大会予選も大会本戦も経験のないメンバーが殆どなわけだ。
経験があるのは三年生と二年生の四人だけだ。
だからお前たち四人で一年生をしっかりと導くこと。
大会の空気感や球場の雰囲気に飲まれて活躍できない選手は思いの外にも多い。
心を整えて普段通りの実力を発揮できるようにして欲しい。
そのためにも本日の練習試合が終わったら…
大会までに心身ともに調整していこう。
まずは本日の練習試合を勝利で収めること。
メンバー不足な為…
本日はダブルヘッダーを組んでいない。
相手チームも一試合で勝負がつく方が大会を想定して采配が出来るということで快く了承してくださった。
私達指導者陣も全力の采配で相手を迎え撃つつもりだ。
お前らも気を引き締めて臨みなさい。
では長い話はこれぐらいにして…
主将からは何かあるか?」
九条監督が長い話を終了させると不知火に視線を向けていた。
不知火は俺達に視線を寄越して…
「俺達…短い間だったけど◯ぬ気で努力して全てのことに食らいついてきたよな?
部員が激減したこの数週間で確実に以前より強くなっただろ?
人数が少ないが故に誰もサボったりせずに…
全ての準備を怠らずに取り組んできたよな?
意識の根底から塗り替えて…
今までの努力を完全否定するように…
何倍も何倍も自分に厳しく全てのことに立ち向かった。
誰も逃げること無くしっかりと達成して…
お前たちの顔付きが完全に変化したこと…
自分で分かっているか?
俺達は地獄の修羅場を何度もくぐり抜けた猛者だ。
練習試合だって大会本番だって誰にも負けない。
俺達のやってきたことを思い出せ。
全員が全てを達成した心強いチームだ。
味方を自分を…
誇りに思って…
此処から先の全ての試合を完全勝利に収めるぞ!」
不知火の言葉で全員の目は先程以上にギラギラと燃え上がっており…
今から対戦する相手チームを完全に捕食するような…
獲物を捉える捕食者の目をしていた。
「よし!試合までに体を冷やさぬように!
期待しているぞ!」
九条監督が締めの言葉を口にして…
俺達はそれに返事をすると…
ベンチで瞑想したりベンチ前で素振りや近距離ダッシュを行うチームメンバー。
投手は軽く投球の確認をしていて…
あと数分で練習試合は始まろうとしていた。
整列をして挨拶が行われると…
先攻は相手チームで俺達は守備についていた。
本日の先発は稲葉であり茂木や俺にも継投の可能性があった。
準備投球を行っている稲葉の調子をショートの守備位置から眺めて…
「今日も調子良さそうだな」
などと言う独り言が軽く漏れ出ていた。
今日を迎えるまで稲葉は何度もシートバッティングで先発投手を務めており…
俺達の打線は容赦なくコテンパンに打ち負かしていた。
毎度毎度規定回を投げ終えるとへとへとな表情で悔しそうにマウンドを降りる稲葉だった。
継投する茂木も当然のように打線に捕まって…
投手陣はかなり疲弊したことだろう。
しかしながら彼ら投手陣はどうしても打ち崩されることに納得がいかず…
バッテリーは話し合いを何度も重ねて徐々に化けていく。
シートバッティング中の捕手は控えの斎藤だったが…
話し合いには須山も参加しており…
須山は自らが持ち合わせる様々な経験や知識を斎藤にも託していたのだ。
そのお陰もあり斎藤は確実にレベルアップを果たして…
もしも須山が怪我などをしても途中交代をすることになっても…
捕手を任せることが出来る存在に進化していた。
そんな斎藤のリードに不満を持つ投手陣は存在しなくなり…
投手は余計な心配を抱えずに投球に集中できるようになったのだ。
それ以降のバッテリーといえば…
以前のようにこてんぱんに打たれることも減っていき…
五番以降の打者との対戦成績は五分以上に抑えられていた。
ただし一番から四番の打順に対しては…
やはり少しの苦手意識があるようで…
毎回かなり苦戦しながら対戦に臨んでいた。
対戦が終われば再び話し合いを行い。
様々な問題点を修正していく姿勢は全てのことに対して余念がないと言っていいだろう。
そんな一皮剥けた稲葉や茂木は…
本日の練習試合でどの様な活躍をしてくれるのだろうか。
俺は今からそれをしっかりと目に焼き付けて…
確かめて大会本番前のこの練習試合で一安心したかった。
閑話休題。
準備投球が終りを迎えて…
主審のプレイボールの声とともに試合は開始された。
一球目のサインに当然のように頷いた稲葉はすぐに投球モーションに入った。
明らかに相手打者に様々な思考を巡らせない対策に思えてならなかった。
テンポの良い投球で左打席に立つ先頭打者の腰元インコース目掛けて速球が差し込まれている。
打者は手を出さなかったが…
表情から察するに手が出なかったのだろう。
俺と物延は一球で状況を理解するとお互いに目配せをして帽子のつばを触った。
もしも速球に手を出しても完全に振り遅れることは明白だった。
捕手のサインを二遊間は確認しながら守備位置を変更していく。
しかしながら投球前に如実に変化すれば二遊間のせいでバッテリーのサインが相手に筒抜けになる可能性があった。
だから俺達は投手が投球モーションを完全に終えるまでに徐々に守備位置を変更していたのだ。
一気に移動するのでは無く…
ジリジリと徐々に移動して最適な守備位置まで移動していた。
その甲斐あってか左打者のインコースに差し込まれるスライダーに…
タイミングがバッチリ合った打者がフルスイングした当たりが右方向に強い当たりとして飛んでいく。
物延は守備位置を移動していたこともあり俊足を活かして移動して…
飛び込むようにダイビングキャッチをすると立ち上がりファーストへ送球。
いきなりヒット性の当たりをアウトで仕留めて見せる物延にバッテリーは助けられて…
「セカンド!ナイスプレイ!マジで助かった!」
バッテリーの称賛の言葉に物延はグラブをはめている左手を持ち上げて応えていた。
続く二番打者を迎えたバッテリーは…
相手チームが速球を殆捨てていることに気付いたようで…
一番打者が速球にまるで反応せず…
稲葉の難しい変化球であるスライダーに完全に照準があっていたのは不可思議だったのだろう。
故に相手チームは変化球…
またはスライダーを狙い撃ちしていることに気付いたようだ。
須山は他の様々な球種を要求していて…
相手チームの反応を伺っていた。
しかしながら相手打線は他の球種にも手を出さなかった。
追い込んだバッテリーは試しにスライダーを投げ込んでいて…
右打者の二番から逃げていくようなスライダーだったが…
相手はそれにバットを振る。
しかしながらうちの打線がアウトコースに外れる球を打つ練習を散々行っていたため…
稲葉は力を制御せずに…
ボール二個分外れる場所にスライダーを収めてみせた。
相手は思った以上に変化するスライダーに完全に空振りをして…
そのまま三振で倒れていく。
後続の三番も狙い球は同じなようで…
それならばスライダーは放らない。
それが捕手のリードや配球として鉄則に思えたのだが…
須山はスライダーをあえて決め球に設定していて…
相手打者の狙い球を逆手に取った配球で凡退に抑えて見せていた。
きっと須山の狙いはスライダーに絞っていることをバッテリーが理解している。
ということを悟らせないためだと思えてならなかった。
相手の狙い球を理解したら普通はその球を極力放らないだろう。
しかし須山はそんな分かりきった攻略をしてくる相手打線はカモでしか無い。
と言わんばかりに…
あえて相手の狙い球を決め球に変更して凡退で抑えていた。
相手の戦法を逆手に取った配球で…
合気道のように相手の力を利用して勝利する。
巧みな戦法で相手打線を抑え続けていた。
こちらの打線は爆発し過ぎてしまい…
一番打者の不知火が初球から積極的にバットを振っており…
今までの巧みな打者と言う印象よりも初球から積極的に振っていく怖い打者の印象が強い。
きっと後続で控えている打者を本格的に信用してくれたのかもしれない。
信頼できる打者が後ろに控えているため…
不知火は主将として後続の打線にヒントを与えるようなバッティングではなく…
自らで点をもぎ取るような…
力でチームを引っ張っていくことに意識を切り替えたのだろう。
今残っているメンバーは全員。
実力主義を重んじているメンバーしか残っていなかったから…
きっと不知火は主将らしいプレイなどと言うものを試合中は忘れるようにしたのだろう。
そうではなく実力でチームを導く。
そういう主将にこの短期間で変わっていったのだ。
追い込まれた不知火だったが…
なぜだか凡退する気がしなかった。
彼が最近シートバッティングや紅白戦で異常に打率を上げていたことにも気付いているし…
後続の打者である俺達も不知火を信用していたのだろう。
捕手がアウトコースよりに構えており…
投手がサインに頷いていた。
バッテリーはこれで抑えることが出来ると言わんばかりにアウトコースにボール一個分外れる球を上手に制球する。
しかし不知火はこれを待っていた。
と言わんばかりに…
練習で何度も行い…
やっと習得したその技術で…
アウトコースに外れる球に向けて大きく踏み込むと…
引っ張ることは無く逆方向からセンターに向けてバットの芯で捉えるようにフルスイングしていた。
金属バットの甲高い金属音が快音奏でてグラウンド全体に響き渡っていた。
左中間の深い所に大きく高く飛んでいく打球をレフトとセンターが全速力で追いかけて…
しかしながら打球を追いかけることをやめた外野手の二人を見て…
俺達は本塁打を悟っていた。
不知火もゆっくりとダイヤモンドを一周しており…
審判が手を宙に掲げてぐるぐると回していた。
先頭打者ホームランを放った不知火は悠々とホームに帰還して来て…
「ナイスバッティング!」
俺の称賛の言葉とハイタッチを受け取った不知火は笑顔を浮かべていた。
「練習の成果が出たぜ!ありがとうな!」
不知火は俺に感謝を述べると尻を軽く叩いてくる。
それに適当に応えて不知火の背中を軽く叩いていた。
「続けよ!」
その言葉を受けて俺は打席に向かう。
捕手は既に座って構えており…
一打席目の申告敬遠は免れたようだ。
左打席に立って…
それでも完全に勝負を捨てられることを頭の片隅に置きながら…
俺と相手バッテリーの勝負は幕を開けた。
初球からホームベース付近でワンバウンドする変化球が放り込まれていた。
ドロップカーブと思われる軌道で球速もあまり速くない。
大きく縦に落ちていくようなその変化球を当然のように見送っていた。
二球目に放られたのも球速の遅い落ちていくボール。
右投手である相手投手が放ったその球は…
左打者から逃げるようにシンカー気味に沈んでいくチェンジアップ。
当然それにも手を出さずに見送っていた。
三球目に放られたのは少しだけ球速の上がった球で…
しかしながら打者の手元で鋭角に落ちていくスプリット。
どうやら相手バッテリーは落ちる系統の球を連発して…
俺が万が一手を出せば内野フライまたは外野フライで打ち取る構えに思えてならなかった。
もしくは完全なボール球を放り続けて…
手を出してくれたら儲け物。
見逃しても四球と割り切って投げているのかもしれない。
勝負せずに申告敬遠は愚策と…
勝負している風で本当の所は敬遠しているのかもしれない。
そんなことを考えながら…
俺は四球目を待っていた。
今までとまるで同じ投球モーションから放られた球だったが…
指先からボールが離れる瞬間…
手につけていたロジンが今までよりも多く弾け飛んでいたことが目に飛び込んできて…
明らかな違和感に俺は一気に気を引き締めていた。
縫い目に掛かった指先に全力で集中している証拠で…
きっとこの高スピンはストレートであることを理解していた。
かなりの球速と思われる高回転するストレートがインコースに差し込まれていて…
三球目までは球速が遅くアウトコースに目掛けて放り沈んでいくボールだった為…
バッテリーは急にインコースに速球を投げられたら打てないと思っていたのだろう。
しかしながら俺はそういったシュミレーションを何度も重ねてきたのだ。
バッテリーの話し合いに当然参加していた俺だった。
捕手である須山や斎藤の配球能力やリードを何度も耳にしていたし…
俺は幼い頃から数々の計り知れないパターンをシミュレーションしてきたのだ。
だからこれも対策が出来ていて…
頭の中で存在しているイメージ上の対戦を引っ張り出すようにして…
インコースに差し込まれた速球を…
身体を大きく開くこともなく…
上手に肘を畳んで腰や下半身を高速回転させてバットを繰り出していた。
金属バットの真芯をしっかりと捉えたボールがライトスタンドに運ばれていく。
ボールの行方を追うこともないライト。
俺は余裕でダイヤモンドを周りながら…
場外へと飛んでいくホームランボールを眺めて…
ホームベースへと帰ってきた。
「何処まで飛ばすんだよ。一球見送っても良かったんじゃないか?
カウント的に不利だったのは相手バッテリーなんだし。
吹雪だから打てた場面だと思うが…
味方がお前の行動を真似るのはいただけないだろ?
明らかにお前は模範となる選手なんだ。
他の選手が真似できない…
悪い手本になるプレイは控えたほうが…」
須山の杞憂を耳にして…
俺は笑顔を浮かべて完全に否定するように首を左右に振って見せる。
「悪い手本なんかじゃないさ。甘く入ったストレートを打っただけ。
ホームランに出来ると思ったし味方にも同じことが出来るようになってもらわないと困る。
今の状況で一球見逃して…
フォアボールを望んでいる様な打者をバッテリーが怖がったり嫌がったりすると思うか?
今の場面は例えファールになったとしても…
打つ姿勢を相手バッテリーに見せる方が最善だったと判断したまでだ。
ファールになっても見逃しても3-1。
どちらの行動をとってもカウントに変わりない。
けれどバッテリーの心情はまるで違う。
フォアボールを期待して待っている打者と…
甘い球なら確実に打つという姿勢で待っている打者。
怖いのは明らかに後者だろ?
捕手としての須山だったらそう思うはずだが?」
俺の反論に須山は呆れるような表情を浮かべて…
苦笑するように嘆息した。
「分かったよ。凡退することもなくファールにしたわけでもなく…
しっかりとホームランを打ったのにチクチク言ってすまなかった。
大会が始まるまでにメンバーでミィーティングをして…
そういう細かい部分の意識も共通なものにしておこう」
「あぁ。皆んなだって打てる球をカウントの有利不利を理由に見逃すのは嫌だと思うぞ。
確実に打てると思った時は振れば良いんだ。
そのためには教科書通りの意識を塗り替えないとな。
先入観に囚われずに意識改革をしていこうぜ。
皆んななら出来るって俺は信じているから」
「お前からの期待や要求に応えるのは毎度骨が折れるよ。
じゃあ俺も打ってくるわ」
須山は笑顔でそれだけ言い残して打席に入る。
俺はベンチに戻って打線を応援して過ごすのであった。
一回裏の攻撃から打線は思った以上に爆発していて…
相手チームだってうちと大会前に練習試合を組むわけで…
明らかに強豪校なのだが…
打線は二巡目に突入していて…
不知火は当然のように長打を放ち…
俺は二打席目以降から敬遠が続いていた。
埒が明かないほど攻めた裏の攻撃が終わる頃には…
相手投手は三人目に突入してしまっていた。
守備の時間では稲葉が五回まで無失点で投げきり。
継投で二番手で出た茂木も七回まで無失点で抑えた。
八回から俺がマウンドに上がることになり…
須山は俺に九回表の最後の打者まで変化球を要求することはなかった。
帝位高校は無失点のまま練習試合を終えて…
結果的に0-20という…
野球ではあまり見られないような点差で試合は終了して…
整列をして挨拶が終わると…
「お前ら部員の数減ったのか?」
相手チームの主将と思われる選手が不知火に声を掛けており…
「あぁ。諸事情でな」
不知火の受け答えに何か引っかかりを覚えたのか…
「まさかとは思うが少数精鋭にするために残りを切り捨てたんじゃないよな?」
「そんなわけあるか。こちとら二、三年の大半が退部して…
残ったのは多くの一年生と圧倒的に数少ない上級生だけなんだぞ…」
「え?まさか…今のチームは殆どが一年だっていうのか…?」
「そうだよ。俺とセカンドの物延とエースの稲葉と二番手投手の茂木以外は全員一年」
「まじかよ…殆ど一年で構成されているチームに惨敗って…
帝位は来年以降どれだけ強いチームになるっていうんだ…
お前らだけ既に新チームで大会に臨む様なものだな…
それでも結果を残すだろうから…
帝位は毎年目の上のたんこぶだよ…
今年ぐらいこけてくれよ…」
「ははっ。今年から三年は確実にこけないな。
一年は頼りになる選手ばかりだし…
吹雪を中心に須山などの一年がチームを引っ張り盛り上げてくれる。
絶対に負ける気がしないのは…
正直今までで初めての感覚だよ。
ずっとこのチームでプレイしたいってほどだ」
「はぁー…あの厳しかった不知火にそんなこと言わせる一年たちなのかよ…
まいったな…」
「一年だけじゃない。残った二年の物延に茂木も…
この短期間でかなり覚醒して進化を遂げた。
今までのコイツラじゃないさ。
今年の甲子園を優勝して…
俺はプロへの階段をまた一段と駆け上る」
「健闘を祈る。あと少しで大会が始まるが…
俺達もチーム改革に努めるさ。
今日はありがとう。
また大会で会おう」
相手の主将は不知火と固く握手を交わして…
三塁側ベンチに戻った彼らは監督のミィーティングを聞いていて…
それが終わるとグラウンドと帝位高校野球部に挨拶をする。
そのまま荷物をバスまで運び…
彼らは自分たちの高校へと帰っていくのであった。
「本日の練習試合を踏まえた課題だが…
正直粗が見当たらないぐらいの働きだった。
稲葉の投球も以前より力が抜けて投げているように思える。
制御して投げていると言うわけではなく…
余計な力が入っておらず球のノビやキレも以前より増していたと感じた。
明らかに球速も上がっており相手打者も打ちあぐねていたな。
捕手の須山も相手打線が狙い玉にしていたスライダーをあえて決め球に設定して…
失敗すれば打ち込まれた可能性があったが…
見事に相手打線を翻弄して抑えてみせたな。
そのチャレンジングな姿勢は上や先を見据えているように感じた。
バッテリーは特に向上心の塊だった様に思う。
内野手は特に二遊間が捕手のサインを確認してお互いの守備位置を変更して守っていたのが光った。
好プレイが多くバッテリーを何度も助けたな。
サードもファーストも塁上に強い当たりが飛んできても…
動じること無くしっかりと処理していて心強かった。
二遊間の守備位置変更を瞬時に感じ取って自分たちに出来ることを模索する姿も称賛に値する。
外野手はセンターの不知火を中心にコミュニケーションを図って…
一球ごとに守備位置を微調整する姿…
好打者や強打者に合わせて同じ様に守備位置を変更して…
何度もヒット性の当たりを凡打に抑えていたな。
継投で投げた茂木も。
以前のような覇気の感じられない打ち頃の投手ではなかった。
来年は確実に絶対的エースへと成長する片鱗を見た気がする。
最後の二回を投げた吹雪も…
投手としても満点と言わざるを得ないだろう。
お前をショートとして起用するのは確定だが…
今年の夏は部員が急激に減った…
そのためお前の登板回数も増えるだろう。
そこは了承して欲しい。
チームの為を思って投げてくれ。
打線は言うまでもないな。
20得点とは…
走攻守完全に揃ったチームだと言える。
それ故に…
今日からは心身の調子を整えて…
メンタルトレーニングを中心に調整に努めよう。
では昼食後はいつも通りのルーティンを行い…
そのまま室内練習場にてメンタルトレーニングに移行する。
本日投げた投手はアイシングを忘れずに。
以上…解散!」
九条監督のミィーティングが終了すると俺達はすぐに腹ペコの空腹感を満たすように…
食堂へと向かうのであった。
食事をもりもりと食べ進めるチームメイト。
俺もいつも以上に食事に注力しており…
俺達は長い時間を掛けて昼食を終える。
普段通りの行動で室内練習場に向かうと全員が食休みを兼ねた柔軟ストレッチに励んでいた。
寝転がりながら本日の試合の感想などを話し合い…
時間がゆっくりと経過して本日の快勝の喜びに身を委ねていた。
大会開始までに今まで以上に強いチームになるために…
俺達は14時から始まるメンタルトレーニングも完全に意味のある練習にして…
大会予選当日まで調子を上向きにし…
メンタル強化に努めるのであった。
主将が予選抽選会に参加して…
帝位高校はシードから始まるのだが…
初戦の相手に照準を合わせて対策をして…
俺達は予選大会から一つの負けも許されずに…
今から完全に抜かり無く準備を整えるのであった。
次回より…夏の甲子園、第○○○回全国高校野球選手権東東京大会…開幕…!
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