第20話要は接着剤なんだから大量に塗ったくる必要はねーのよな

本当に近かったわ! マジかよ、横に数軒離れただけの距離に作業台に出来そうな瓦礫の塊があったわ。

うっわ、俺周り見て無さすぎだろ。


「そいじゃ、箒モドキでザザっとゴミ落とすぞー!」


自己反省してる間に狼耳リーダーが瓦礫に積もってたゴミをごっそり叩き落とし、魔法でどんどん綺麗にしていった。


……魔法? 戦闘に使うだけじゃねーの?

これ住人なら知ってなきゃ出来てなきゃやべぇんじゃねーの? あ、後で教えて貰っとこ、絶対に。


「ふー中々の魔法訓練になったなぁ。ホーク、これで使えるぞ?」


ひと仕事終えたかの様な達成感スマイルで俺に声を掛けてくる。

そこには野ざらし雨ざらしになってるとは思えないほど綺麗になった瓦礫の塊が鎮座していた。


「すごく綺麗になってるから置いても大丈夫そうだね。じゃあ、今から粘着液塗るから見てて」


切った毛皮の裏側に粘着液の瓶を傾けて線を引くように、一気に少しずつ垂らしていく。

垂らしたらハケ代わりの石でまんべんなく拡げ、足りなければまた少し垂らして拡げ過不足なく隅々まで塗り切ったら裾に合わせて貼り付けていった。


多すぎると乾くまでに垂れるし乾くのに時間も掛かるから、過不足のさじ加減が難しいんだよな。

でも俺がいない時でも自分で出来るのが1番だからな。


「よし、次はお前から始めていこうか。

いいか? 一気に垂らすんじゃねーぞ?」


「お、おう…すこーしずつ、すこーしずつ……」


たどたどしくはあったが、お手本を見せていたお陰か途中で失敗する事もなく何とか貼る所まで漕ぎつける事が出来た。


「ね、ねぇ! その石と似た形の石見つけてきたからこっちの瓶で塗り始めてもいいよね!?」


待ちきれなかったのか、いつの間に離れて俺の使った平たい石と似た形状の石を幾つか持ち込んでいた。

よくもまぁこんな短時間で見付けて来れたな!


「やり方分かってるならそれぞれ始めていいよ」


「「「やたっ!!!」」」


途端に女子組は姦しくやり取りをしながら、男子組より手際のいい手つきで垂らしては拡げて塗っては裾に貼っていく。

普段、生活でどっちを重視して手伝ってたかよく分かる光景だなぁ。


「後は乾くのを待つだけだから裾同士引っ付かないよう服を拡げて乾かしなよ」


「「「「「はーい!!!!!」」」」」


あれ? 粘着液使い切った瓶消えずにまだ残ってるな?

他に使い回し出来そうだから急いで洗い流して綺麗に保管しとくか。


「使い切った瓶もったいないから洗って取っとくわ。悪いんだけど洗う用の水少しくんね?」


「これくらいの数なら俺の生活魔法で綺麗に出来るぜ? 掛けといてやるよ」


「お、おぉぉぉ!? それ生活魔法って言うんだ!? 初めて知ったよ!」


「お、おう。ホークは生活魔法知らなかったのか。だったら俺たちの中で1番魔法が得意なミラルカに教わるといいぜ?

お前の耳ならミラルカと相性はいいはずだ」


いよっしゃ! プレイヤーは使えない生活魔法ゲットだぜ!

NPC磨きがはかどるなぁ!

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