第6話

 私はあのあと、何故か志摩子おすすめの甘味処に行くこととなった。


 4人用の机に座っており、とうぜん私の隣には愛する綾香が座っている。美味しそうにあんみつを食べており、そんな彼女を見ているだけで、私は今すぐに昇天しそうだ。


「それにしても、今日は散々だったわよ。あの理恵のせいで」


 私の向かい側に座っている志摩子は、ここにはいない人間に対して文句を飽きもせず口にしている。


「でもでも〜、理恵ちゃんのおかげで、泉探偵団の初陣ができて良かったよ〜」

「そうね、綾香。とっても良かった」


 そう――本当によかった。だって、こんな嬉しそうな綾香を見ることができたんだから。


「そりゃー、良かったわねー」


 まったく、よくなさそうな顔で志摩子はあんみつをスプーンで突っついている。


「それじゃ〜、明日からさっそく部活の申請を出してぇ、3人で本格的に泉探偵団の活動をしていこうね~」

「探偵団って、部活なの? ってか、私も参加するの?」

「当然だよ~」

「……まぁ、いいけどさ。でも、仕事がある日は無理だからね」

「分かってるよ~、お仕事優先してね」

「まぁ、それならいいけど」


 いいんだ?


「因みに、部活って掛け持ちありなの?」

「え〜、ど〜だったかなぁ?」


 綾香は可愛らしく首をかしげた。


「うちの部活はゆるいから、別に問題ない」

「それなら、理恵のやつも巻き込ませてやる。だから、理恵も探偵団入り決定よ!」

「嫌いだから?」

「嫌い? 何で?」


 志摩子は不思議そうな顔をした。


「いや、別に。気にしないで」

「そう?」

「じゃあ、理恵ちゃんも参加だね!」


 本人がいないのに、理恵はもうすでに探偵団入りが決定してしまった。


「泉ちゃん、明日からの部活、すっごく楽しみだね~」

「そうね、すごく楽しみ」


 まぁ、正式には部活ではなく同好会となるけど――そんなの、些細な違いだ。


「じゃあ〜、今日は泉探偵団結成を祝う会だねぇ」

「それは、理恵がいるときのほうがいいんじゃない?」

「そうだね~、流石は志摩子ちゃんだよぉ」

「まぁ、流石と言われるほどではないけど」

「そう、まったくもってその通り。だから、決して自惚れないように」

「い、泉、圧が強いんだけど」


 まぁ、こんな風にして、私と綾香の素晴らしい日常は続いていく。死がふたりを分かつまで、私たちの日々は終わらない。

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彼女が求めるまま探偵団を結成してみたけど、この女子校ではくだらない事件しか起こらない……それなら幼馴染との百合展開に期待していいですか? tataku @nogika

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