Eternal Frontier Online
頭痛餅
第0話
ようやく、この日がやってきた。
目の前にあるのは酸素カプセルのような機械と、フルフェイスヘルメットのような機械が俺の目の前で鎮座している、無機質な物は最新のフルダイブ型VRゲームの専用機械。βテストを行った友人から、ある程度の情報は聞いているとはいえ、起動は少し怖い。
俺は覚悟を決めヘルメットを被り、酸素カプセルのような機械の中に入り、眠るように、そのまま現実での意識を失った。
チュートリアルをスキップして、最初に視界に入ったのはwelcome new playerの文字と無限に続いているような白い空間。少ししてからキャラクタークリエイトのウィンドウが目の前に表示され、そこには現実世界の自分と変わらない男がいる。
《キャラクタークリエイトを行ってください》
少し遅れて、無機質な女の声が作成を急かしてくる。
ガイドAIの指示に従って、キャラクターの作成を行っていく。
見た目は……まぁ、無精髭を少し生やして、年齢を調整して、髪はそのままにして、これで完成でいいだろう。そう思った瞬間、ウィンドウが消え去り、仮想世界の姿に切り替わる。切り替わった手足を眺めていたら、ガイドAIが次の指示を飛ばしてきた。
《武器種相性の測定を開始します。準備をしてください》
その言葉ともに、様々な武器が俺の周りに展開される。一番近くにあったブロードソードを手に取り、何度か振ってみるが、我ながら中々良い感じではないのだろうかと思っていると、またガイドAIが話し出す。
《近接武器カテゴリー:刀剣の不適合を確認》
その言葉とともに周囲の武器から刀剣類が消えていく。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、不適合はないだろう。自分で言うのもなんだが、剣を振る姿は様になってた筈だ」
抗議の声を出すも虚しく、ガイドAIからの返答は無言。
「残りを試してみろってことかよ」
「おい、これはどうなってんだ。誰か説明してくれよ……」
目の前のウィンドウには試した武器カテゴリーが1つを除いて、全てに赤い文字で不適合と書かれている。適合武器種が1種類なのは珍しいことではないとはいえ、自分がこうなるとは思ってなかった。
これからのゲーム内行動をどうしたものかと思案していると、またガイドAIが指示を飛ばしてくる。
《魔法の適正を計測します。その場に静止してください》
言葉通りに従い、思考を巡らせても仕方ないと諦めつつもAIの次の言葉を待つ。
《魔法適正:低を確認。属性は宝石です》
「これも1種類なのか……。これは生産職向けでは?一応戦える…のか…?」
《肯定します。生産も魔法を用いた戦闘行為も可能です》
とはいえ、武器と魔法も適性が1つとなのは、流石に厳しすぎる。自由度と発想力がこのゲームの特徴ではあるが…。
思考を遮るようにガイドAIが言葉を発する
《それではプレイエリアに転送いたします。》
「お、おいもう少し時間を…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます