第25話

なのに、なんなのこれ。仕事でちょっと資料見てもらっていいですか?みたいな上司に部下が渡す資料みたく婚姻届けを渡されたあげく、結婚しない?という軽い言葉。


「嫌ならいいけど」


そんでこの適当な返し。


「あのさ、そんな安易に私にプロポーズしてんの?」


「安易ではない」


そういう亮伍はDVDを見ていた。安易すぎる。


「そうやっていろんな女にプロポーズしてんでしょが!」


「いや、誰にでもプロポーズなんてするわけねーし」


「じゃあなんで今、私にプロポーズしたわけ?」


「なんとなく」


「は?」


なんとなくで言われるとか、最悪なんですけど。


「まりことなら結婚していいと思って」


う、なんなのそれ。そう言うことは先に言えよ。言い方おかしいし、唐突すぎんのよ。


「で、でもさー亮伍の親とか反対するんじゃない?急な結婚話だしー」


「いや大丈夫でしょ。まりこのこと話してるし、离緒も言ってると思うし」


な!私のこと親に言ってるの?私は言ってない…。


「俺はお前の親に反対されそうって思ってんですけど、どうなの?」


それは私も思った。亮伍は私よりも収入少ないし。うちの親はそういうのに厳しいから。


「さあ、どうだろう。全然連絡してないからわかんない」


「まじ?意外なんですけど。お前って実家から仕事行ってたんでしょ?」


「うん。そうなんだけど…」

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