第19話

お姉ちゃんはすぐ帰っちゃった。

はぁ、夜遅いし、尚兎は仕事中かぁ〜。尚兎はだいたい夜にお仕事をしてるの。外国にいる人と電話ばっかりしてるんだ。尚兎のお父さんと2人でやってるから大変なんだけど。


「ただいま…」


ドアを開けると尚兎のお姉さんのさつきさんがいた。


「遅かったね、私今から行くから」


尚兎に似てて冷めた感じのお姉さん。昼間はOLで夜には趣味でバンドをしている。お父さんは皐さんにもお家のお仕事をしてもらいたいらしいけど…。


すると突然、皐さんがドアを閉めたはずだったのにまた開いた。


「よ!尚兎は?」


そこに現れたのは、近所に住む憲緒のりおさんだった。ミュージシャンで、皐さんと同じバンドにも入っている。尚兎とは学校の時バンドをやってて仲良しなんだ。


「尚兎は今仕事かも…」


「ちょっとだけでいいから会いたいんだけど!電話しても出ねーし!呼んでもらえない?」


「はぁい」


憲緒さんに言われた通り仕事場へ向かう。仕事場があるのは爬虫類たちの住む部屋をつきぬけて、一番奥の部屋。


そっと扉を開き尚兎を呼んだ。


「憲緒さん来てるよ?」


「は?憲緒?仕事中って言っといて」


尚兎はパソコンをしていて私と目を合わせることなく、お帰りすら言わない。

そのまま玄関へ戻った。


「ごめんなさい…尚兎仕事中で忙しいって…」


「えーちょっとも会ってくれないのかよ~」


「はい…」


「じゃ、もういい…あとで電話しよう」


んもー最初からそーしてよー憲緒さん~

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