打ち身

@10100

打ち身

 よく怪我をする。

 怪我と言っても血が出るようなかつ傷の深いものではなく、打ち身。つまり痣だ。

 幼い頃から不注意が多く、成人した現在でも変わらない。床に置かれたものに気が付かなかったり、物の横を通ろうとした際に普通なら避けられるであろう出っ張り(複合機のステープルした書類が溜まるところとか)にぶつかったりだとか。そういうちょっとした怪我の積み重ねで、四肢のどこかしらに痣がある人間になってしまった。

 ぶつかったりところで「まぁ、よくあることだしな」と反省も禄にしないので、同じ荷物に再度ぶつかり、何度も何度も出っ張りに服の袖を引っ掛けている。その内、私がぶつかっている物は壊れるのではないか?

 大抵の場合、痣ができる程の打ち身なので、ぶつけた瞬間に痛いと感じる。後日、なんだか痛いなーと思い、服を捲り上げてみれば、真っ青になっており、「この前ぶつけたやつか〜」と思い出す。

 しかし、中には覚えのない痣も出てくることがある。

 この間、うっすらと内膝に痛みを感じた。ズボンを捲ってみれば、予想通り痣が出来ていた。結構広くかつ強く打ったと予想がつく大きさで、膝の皿と殆ど同じくらいのサイズがあった。

 ここ最近は何かにぶつけた覚えがなく、けれども日常茶飯事なので、家族に

「見て〜、見覚えない痣できてた〜」

 などと報告をし、そのまま放置していた。

 次の日、再び足が痛んだ。痛みは昨日と反対側の足から発されており(初めの痣は右足だった)、こちらもまた内膝の辺りだった。

 服を捲ると、やはり痣。身に覚えのない痣。昨日発見したものと同程度の痣が出来上がっている。だが、右は既に黒く変色している。左は未だ青い。出来たばかりだ。

 二日連続で膝をぶつけるようなことしたか……?

 全く身に覚えのない痣を二つ抱え、更に次の日。

 再び痣が増えていた。今度は左足の足首内側。

 恐らく、左膝と同じくらいの時期にぶつけたもので、まだ色は淡い。

 ここまできて、漸く疑問が生まれた。

 何故ぶつけやすい外側ではなく、全て足の内側なのか。結構な打ち身なので、絶対に何をしたのか覚えていそうなものなのに記憶がないのか。

 いくら頭を捻っても答えは出てこない。

 仕方ないので湿布を貼ることにした。触らなければ痛くないが、少しは早く治るかもしれない。

 加えて、痣だらけで見た目があんまりにも悪い。くっそ暑いのに短いズボンが履けないのは辛い。

 暫くは周りに気をつけながら歩こうと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

打ち身 @10100

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る