もう一度、夢のマウンドへ 転生した少年の現代ドラマ

なちゅん

第1話 異世界じゃないけど、ここどこ?

篠崎雄大は、目の前が真っ暗になった瞬間、交通事故で命を落としたことをはっきりと覚えていた。プロ野球選手を夢見ていたが、叶わぬまま若くしてこの世を去ったはずだった。


しかし、再び意識を取り戻した彼は、まるで違う場所にいることに気づいた。温かく柔らかな布に包まれ、目を開けると、見知らぬ天井が視界に飛び込んできた。


「……ここは、病院か?」


そう思った次の瞬間、雄大は自分が赤ちゃんの体であることに気づいた。手足が小さく、力もまったく入らない。彼は慌てて声を出そうとしたが、出てきたのはか細い泣き声だけだった。


「う、うわあああ!」


自分が何をしているのか分からず、ただ泣き叫ぶ雄大。だが、すぐに優しい声が聞こえてきた。


「大丈夫よ、雄大ちゃん。お母さんがいるからね。」


その声に驚いて目を向けると、見たこともない女性が自分を抱きしめていた。だが、その目には確かな愛情が宿っていた。


「お母さん……?」


頭の中が混乱する。これは本当に現実なのか? それともただの夢なのか?


時間が経つにつれ、雄大は自分が現代日本によく似た、しかし少しだけ異なる世界に転生したことを理解し始めた。テレビで映る風景や、耳に入る会話は、かつての日本とほぼ同じだが、微妙に違っている。例えば、街の名前や歴史の一部が異なることに気づいたのだ。


「ここは……どこなんだ? でも、俺にはもう一度チャンスがある。」


雄大は赤ちゃんとして再び生まれた新しい世界で、自分の夢を追い続けることを決意した。今回は、異なる世界であっても、絶対にプロ野球選手になるのだ。


そう心に誓い、彼は新たな人生の第一歩を、ゆっくりと踏み出すことになった。

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