人魚すくい
片喰 一歌
序章
序章 未だすくわれぬ魂
きみを呼ぶ声が聴こえたら
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ヒ……ヒヒヒヒヒ……。今宵はどんなお客さんがお見えだろうね」
幾重にも重なったフリルの袖の先からは、細く細い尖った指が覗いている。
「…………泣いているのかい? 嘆いているのかい? ああ、そうだねえ。そうだろうとも! いつまでもこんなばばあとしけた暮らしじゃあ、
精巧につくられた人形のように欠点のない美貌を誇る愛くるしい少女は、可憐な外見に似つかわしくない魔女然とした口調で、水面に浮かぶ彩り豊かないくつもの球体に話しかけているようだった。
「だけども、大丈夫。……大丈夫。お前さんがたも、きっと、きっと……運命に巡り逢える…………」
不吉な予言めいた声が掛けられると、球体たちは一斉に跳ね、水面には大きな波が立った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます