子ガチャ!~A⁺ランク息子を授かったCランクの俺は、死んだ嫁を生き返らすために今日も育児に奮闘する~
昼堂乱智
プロローグ
ランク。
この世のすべての人間には「ランク付け」がされている。
これは決してなにかの比喩表現として言っているわけではない。
文字通り、ほんとうにすべての人間には生まれながらに「ランク」が「付いて」いるのだ。
いや、ここでひとつ誤解を招くような言い方は訂正しておこう。
正確には「付いて」いるのではなく、そのランクに応じた「血が流れている」というべきか。
基本的には、生まれてきた子供はまず、この「ランク」を測られる。
ランクは大きい分類では上からA、B、C。
そして、Aの中にも上からA⁺、A、A⁻といった具合に細かい区分があり、
これはB、Cにも同じことが言える。
つまり、この世のすべての人間は、最も高いランクA⁺から、最も低いランクのC⁻まで、
合計九つのランクに分類されているのだ。
そして、人にはこの「ランク」とは別に「型」(もしくはタイプ)というものも決められている。
型には三つの種類があり、それは知能型、運動型、芸術型の三つだ。
これは、その人が“どの分野に秀でたモノを持っているか”を示すもので、
この型の中でも、さらに自分の特化している能力、
その人にとって最も大事なのが、この「ランク」と「型」で、
自分がどのランクで、どの型なのかによって、その人生はおおむね規定されるといっても過言ではない。
「型」によって自分の能力が最も発揮される「分野」を知ることができるため、
その「分野」の道に進むことがその人にとって“最良の選択”であるといえる。
そして、いくら得意分野といえど「ランク」によってその能力値の限界も決まってくる。
そのため、どんな分野に進んだとしてもあらかじめ自分の限界はある程度知ることができる。
それは決してつまらないことではない。自分のできる
「ランク」に合った努力をして、「ランク」に合っただけの人生を送ればいい。
誰しもがそう思っていた。
しかし、この「ランク」は人々の間に明確な「差」を生み出してしまった。
高い「ランク」の者が自分よりも低い「ランク」の者を見下し、嘲笑う。
人間とは実に醜い生き物だ。
「ランク」のような、目に見える形の「差」を生み出すシステムのある世界は
そうでない世界よりも一層残酷な格差に支配されていた。
いうなれば、「超“格差”社会」ならぬ「超“ランク差”社会」となっていたのだ。
これは、そんな世界で「ランク」を超えた愛を見つけた、とある三人の家族の物語―――。
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