第13話 余波と新たな謎
エニグマ号が銀河の中心から離れ、再び通常航行に戻った頃、クルーたちはその効果を実感し始めていた。銀河は再生され、エネルギーフローは安定し、星々は再び平穏を取り戻した。しかし、その静寂の裏には、まだ解決されていない謎が残されていた。
ブリッジには、少しばかりの安堵の空気が流れていたが、ゼノ・オスカーの表情にはどこかしらの憂いが見て取れた。彼は星図を見つめながら、まだ何かが終わっていないことを感じていた。
「銀河が再生されたのは間違いない。でも、まだこの力の全貌を理解したとは言えない。」ゼノは自らに言い聞かせるように、静かに呟いた。
「どうした、ゼノ?全てが上手くいったんじゃないのか?」ケイド・ローガンがゼノの肩に手を置き、少しばかりの安心感を見せながら尋ねた。
「そうだな…銀河は救われた。だが、装置が持つ力の全てを理解したわけではない。私たちは、その力を使って何かを修復しただけで、本当の意味で制御したわけではないかもしれない。」ゼノはケイドの言葉に応じながら、複雑な表情を浮かべた。
「ゼノの言う通りです。」リラ・ナイトシェイドが端末に向かって操作を続けながら言った。「装置の内部には、まだ解明されていないシステムがあるようです。それらが何を意味するのかは不明ですが、さらなる探求が必要です。」
「さらなる探求か…」エリサ・トールがため息をついた。「これ以上、何が隠されているのかしら?」
その時、ヴァーゴ・キンタロスが新たな異常を報告した。「船長、付近の宇宙空間に奇妙な歪みを検知しました。どうやら、これまでとは異なるエネルギー波動が放出されています。」
「歪みだと…?」ゼノはすぐにそのデータを確認し、額に手を当てた。「これは…おそらく装置の影響かもしれない。私たちが再生を試みた結果、何かが呼び覚まされてしまった可能性がある。」
「まさか…私たちの行動が新たな危機を招いたのか?」ケイドが緊張した声で問いかけた。
「可能性は否定できない。」ゼノは慎重に応じた。「この歪みが何であるかを突き止める必要がある。我々はそれを無視するわけにはいかない。」
「ゼノ、この歪みの解析を進めます。何かが分かるまで少し時間がかかるかもしれませんが…」リラが操作を続けながら、さらに深く探求を続けていた。
クルー全員が緊張感を持ちながら、それぞれのポジションで任務にあたっていた。その中で、ゼノは再び装置の持つ謎と向き合い、次の行動を考え始めていた。
「この歪みの正体を突き止めなければ、銀河全体が再び危機に瀕するかもしれない。」ゼノは自らの決意を固め、クルーに向けて声を上げた。「全員、警戒を強化し、この歪みを徹底的に調査する。我々が再び銀河を守るためには、この新たな謎を解き明かさなければならない。」
エニグマ号は、再び未知の領域へと進んでいった。彼らが再生させた銀河の中で、新たな謎が解き明かされる時が近づいていた。ゼノとクルーたちは、この新たな試練に立ち向かうために、再び一丸となって戦う覚悟を決めていた。銀河の運命は、再び彼らの手に委ねられていた。
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