【ジャンルレス】書き方が分からなくなった時のための執筆論

秋坂ゆえ

01:自己紹介の補足、「表記揺れ」と「誤字脱字」

 はいはーい、こんにちはー!

秋坂あきさかゆえ」というおっちゃんパンクス(ややゴスパン)ですよー。名前だけでも覚えて帰ってくださいね〜!(インディーズ・バンドのMCによくある台詞)


 細かいことは概要欄に書いたんでね、そっちを先に読んでいただければ。

 まあ、最も付き合いの古い友人には、


「おまえは呼吸をするように小説を書き続けるな……」


 と、半ば呆れながら言われます。

 一度、持病が悪化して入院の憂き目に遭い、PCを持ち込めない病院だった上に利き手が動かなくなり、文字が書けなくなったことがありました。


——あ、詰んだ。


 そう思い、泣きながら親に土下座し、自宅療養に切り替えたことがあります。

 何を隠そう、僕には「記憶障害」があります。「勘違い」とか「物忘れ」とかいう次元ではなく、レベチでメモリィが消失することがございまして。


 ですから僕は、【全て書いて記録する】ことにいたしました。


 二十代半ばぐらいまでは、折を見ては全部読み直していたんですけど、いや、もう、年食うとそんな時間なくなる。最近は「記録」も最低限しか難しい。


 なのでね、現在僕は、文明の利器=スマホ・アプリに頼りっぱですよ。

「ライフログ」だけは毎日記しています。睡眠・服薬・食事だけは記録しないと、命に関わるスリルとサスペンスに満ちあふれた毎日がエブリデイなんでね。


 あとねー、【保存癖】、これがあります。

 俺は中学受験したんですけど、って、あ、気が緩んで一人称の「表記揺れ(※後述)」が生じましたが、塾のクラスメイトをキャラにして描いた漫画が今も残ってます。小五くらいかな? その頃から、手書き、PCデータ、最近ではスマホの各種データ、


 


 これはもう、立派な【性癖】ッスね。



 でもこれ、案外メリットもあって、十六の時に初めて公募に送った小説(実質的な処女作)の原稿(紙&データ)と「ネタ帳(※後日書きます)」が全部残ってるんで、二十●年以上経った今でも読み直して、


「ああ〜俺、根本的なスタンスっつーかアティチュードは変わってねぇなぁ」


 なんて、センチメンタルに初期衝動ってやつを確認できるんですよ。

 ちなみに「ネタ帳」は全ての作品残してあるので、ボツった作品のネタ帳を纏めておいて、いいとこ取りして佳作レベルの作品を書いたこともあります。


  ◎


 では、上記「表記揺れ」についてご説明いたします。ついでに、「誤字脱字」についても。

「表記揺れ」とは、俺がWEBライターの仕事を始めてから編集さんに教えてもらった言葉のひとつです。

 ひとつの仕事(記事一本、連載全体通して、など、要求は様々。小説の場合、作品内)の中で、


【単語やフレーズの表示の統一をミスること】


 が、「表記揺れ」です。


 例えば、あなたがカクヨムで面白い連載小説を見つけたとします。

 第1話の冒頭で、主人公が、


『俺は決めた。この世界で、イノシシの味噌汁で無双してやる、と』


 と言うとします。

 しかし、もし次の段落で、


『獅子肉の味噌汁を喰ったブルー・アイズ・ホワイト・ドラゴンは早速ボクの可愛いペットとなった』


 と、「主人公の一人称」が『俺』から『ボク』に変わっていたら、どうでしょうか?(※例文へのツッコミは現在受け付けておりません)


——単なる誤字かな?


 で済ませられるあなたは寛大です。

 ところが、仮にこの「イノシシの味噌汁で主人公が無双する物語(連載)」が長篇で、主人公が自分を指す度に、


『待ってくれ、アドラー! オレちゃんはおまえを裏切ってない!!』

『ふん、良い度胸だセイレーン。吾輩わがはいを鹿肉で籠絡ろうらくする気か?』

『神に誓う! は必ず魔王を倒しミシェルを幸せにしてみせる!』


 といった具合にコロコロ変わってしまったら、どうです?

 上には敢えて極端な例を挙げましたが、日常生活リアルライフでイマジンしてみてください。

 腰の低い男性が普段『私は〜』と話しているのに、恋人と過ごす時だけ『俺はな……』なんて熱っぽく語る、と来れば、これは狙った上での「表記揺れ」、いわゆるギャップ萌え(古語?)の演出になりますが、ライトノベルであろうと一般文芸であろうと、(そして一人称に関わらず)単語やフレーズの「表記」、「表示」がブレまくると、読み手はぶっちゃけついて行けなくなるんです。これホント。

 最低でも、書き始めたばかりの方は、この辺を少し意識した方が良きかと、無駄に筆歴が長いおっちゃんは思うのです。



 そして、これに通じるのが【誤字脱字】です。

 折角なので、上の「イノシシの味噌汁で異世界無双」を再び使用しましょう。


 まず、僕は「イノシシ」をカタカナで書きました。

 これが突然、


『やっぱり思った通りだ! 猪の子供は同じイノンシの親よりも直線的走る!』


 と、訳の分からん表記になっていたら、あなたは理解できますか?

 この場合、「猪」が「イノシシ」で、「イノンシ」が「イノシシ」のタイプミス(誤字)、更に「直線的」の後に「に」が抜けています(脱字)。

 どうですか? 第1話でこれが来たとしたら。


——俺なら萎える。なんなら読むの辞める。


 小説の冒頭は、読者の心なり脳髄なりをぐわしっと鷲づかみにし、何が何でも「あなたが必死こいて考えた唯一無二の物語・世界観」に、それくらいの気合いを入れて書かないと、身も蓋もない言い方になりますが、


 上には上がいます。みんなそっち行きます。


 特に冒頭の一文、最初のエピソード、ここで如何に読み手を魅了し、


「続き気になる!」

「もっと読みたい!」


 と思わせるか(純文にもこのフックは必要だと、おっちゃんは思うだよ)、カクヨムであれば、スマホなりPCなりのページをスクロールさせ、♥︎を押すことを忘れさせるくらい夢中にさせて(これは困りますが)(経験者は語る)、「次のエピソード」をタップ・クリックさせるか、そこに腐心するのが重要です。バズりたいならね。

 

 ですから、まずは「やったー書けたー公開〜!!」ではなく、



 読み直せ。



 ただし、書き終えた直後はお勧めしません。初稿なら一日、二日寝かせても良いです。もし信頼できる書き手がいるなら、読んでもらって、「直し(※後述)」を手伝ってもらいましょう。


 いや、こんな初歩的なことを書いているのは、「惜しいから」なんです。マジで。

 すっげぇおもれーファンタジーや、滅茶苦茶ウェルメイドな文学作品と出会っても、誤字脱字、表記揺れ、そして「言葉や慣用句、ことわざの誤用」などが目に入ると、


「ああんもう!!」


 と、おっちゃん悔しくてたまらなくなるんです。

「なんなら俺、『赤入れ』するよ?!」とすら言いたくなります(※『赤入れ』も後述、もしくは拙作の中から『【元祖】秋坂ゆえの「赤入れ」原稿集』を探してね♪)。



 いい加減長くなっておりますが、最後にトリビア。


「いのしし(イノシシ)」を漢字で「猪」と『漢字で表記する』ことを、【閉じる】と言い(別に覚えなくていいです)、逆に、「猪」から「いのしし(イノシシ)」と平仮名やカタカナにすることを【開く】と呼びます(別に覚えなくていいです)。

 でもこれを知っておくと、推敲の際に、


「この段落、漢字が多くて読みにくいから、ここの『遊戯』開こうか?」

「ここの呪文は必殺技だけど長いね。『いのり』を閉じて強調しようか」


 といった何だかかっちょいい雰囲気が醸し出せます(あと単に便利)。



 あー、3000字超えちゃったよ。おっちゃんは疲れたよ。

 こんな調子で良ければ、♥︎とか★とかぎょうさんもろて、コメントでお悩みや知りたいことあればリクエストも受け付けまっせ。


 でも、おっちゃんもまだ素人じゃけん、全部を鵜呑みにしたらあかんで。

「小説の書き方」的な書籍をしこたま読み込んできたおっちゃんが学んだんはな、


【全部疑ってかかって自分にマッチするとこだけ有効活用すべし】


 やからな。

 でもな、繰り返すけどおっちゃん悔しいねん。惜しいと思う作品があふれとんねん。こんなおっちゃんが役立てるなら、書くで?



 ではでは、最後生まれ故郷の言葉がぽろっと出てしまいましたが、この辺でどろんしたいと存じます。

 次回もお楽しみに。マジでリクもドゾー。



                       秋坂ゆえ拝

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