暇潰しの怪談話。

あおいろ

       暇潰しの怪談話。1


 私には、人に自慢できる話がある。

 それは、ホラーの短編集の小説イベントに応募して、掲載された事があるのだ。あまりの嬉しさに、鑑賞用や配布用と、合計で六冊も自腹で購入してしまった。家族や同僚に渡した時は、今でも覚えている。

 その話の内容は、とある雨の日に、女性が帰宅中で、後ろから何者かに追いかけられるのだ。

 未だに私は、この話を気に入っている。手前味噌ながら、よく書けたと自負しているくらいだから、たまに擦り倒す程に、他人にも話して聞かせている。


 ※※※


 あれは、2024年の2月の平日である。

 その日も、私は朝から出勤していた。ちなみに仕事は、福祉施設の職員として、日々の業務に携わっている。

 ただ当時は、あまりにも人手が足りなくて、慌ただしく仕事をしていた。何故なら同僚が病欠だったり、外出の仕事などなどが重なっていたからだ。

 その結果、施設の一室には私と数名の利用者だけが、同じテーブルを囲って過ごしていた。

 暫くして、残り時間が十分すれば、利用者の休憩時間となる頃となる。

 「…なんか、話をして。」

 と、女性の利用者が、唐突に呟いた。

 対して私は少し考え込むと、今までしていた作業を一時的に手を止めて、相手をすることにした。いくつか此方が過去に体験した笑い話などを交えながら、少しだけ時間を潰していく。

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