世界樹(スキルツリー)を育てる創世神話

月ノ卜川

第1話 創造神?にあった


「...というわけで、これからあなたには新しい世界を創造していただきます」


聞きなれない声と聞きなれない単語が頭の中に入ってくる。

過去にも何度かこういったことはあった。眠りにつく前や夢から覚めた時など、思い返すとよく分からない突拍子もない思考。これはそういった類のものか。


いや、これ明らかに夢だよな。だって世界創造って...そんな馬鹿な。

と、まぶたを閉じて現実逃避を試みる。とりあえずまだアラームは鳴っていない。今はそれまでの睡眠時間が惜しい。


「先ほども話しましたが事態は急を要します。ですが、あなたならきっと...。それでは世界を、皆を頼みましたよ。」


急を要するところが分からないが、これはよく夢にあるやつだろう。後から思い出すとなぜそうなったんだと思う辺りかもしれない。



「ルシール、話は終わりましたからもう大丈夫、戻って来なさい。それでは彼のこと、頼みましたよ。」



その声のすぐ後に何かの存在を感じる。最近寝不足が続いていたので、睡眠が浅いせいかもしれない。



「それでは創造神様の右腕こと私、ルシールが今後の流れを説明させていただきます。まずあなた様が前世を過ごされた世界と似たような異世界を一週間で作っていただきます。」


「...やっぱり夢だな」

だって、一週間で世界って。週末の予定すら立てられない俺にそんなの無理だろう。


「ただし、一週間でいきなり全部は大変だろうという事で、創造神様が様々な特別措置を用意してくださいました。」


「とくべつそち?」

あれかな?夢の中で空が飛べたりするやつかな。


「まず世界の始まりですが、卵から世界が誕生する宇宙卵型、水浸しの世界から作られる潜水型、巨人の部位が様々な物になる世界巨人型などから選択できます。」


「...選べるの?というかその卵は鶏が先なの?卵が先なの?」


「ちなみに巨人などの世界の礎になる場合は各、体のパーツが太陽になったり、海になったりするので肉体は残りません。」


「単純にバラバラになるのは怖いなぁ...でも、自分の目が太陽になるなんてかっこいいかもなぁ...」


「これらは1ptでアンロック出来ますが、ご自身で原初の混沌から創造するパターンもあります。こちらのアンロックには3ptかかります。」


「...混沌ってそもそもなんなんだ?前に調べた気がするけど、なんかよく分からなかったんだよなぁ...。」


まどろむ意識の中、先ほどから聞こえる声がまだ何かの説明をしている。声に反応して思考が浮かぶ。…あれさっき何考えてたんだっけ?

なかなか寝付けないし、とりあえずなんとなく世界に必要なものを考えてみる。これがないと絶対生きていけないと思えるもの。



それは...猫だ!!とりあえず猫がいないのは世界と言えないだろう!

どんな世界にも猫はいる!猫がいないアニメなんて見たことがない!


頭の中に強く猫を思い描いた瞬間、その声を聞いた気がして思わず飛び起きてしまった。

そして気付いた。目の前にそれがいることを。

状況がつかめず思考が停止したままの頭の中に声が響く。


「混沌からの創造をアンロックしました。残りのptは2ptです」

「にゃー」


「えーーっ!!」

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