111話 小羽玖ちゃんから私への好感度が上がるような事、私今しました?してませんよね。


  環希ちゃんも黙り込んでしまったままなので、

とりあえず私も沸かしてたお湯でアメリカンコーヒーの準備をする。


 「ティーセットも揃ってるよ」

 

 小羽玖ちゃんは嬉しそうに、ティーセットや茶葉を品定めしている。

 小羽玖ちゃんは紅茶が好きなようですね。

 これで紅茶が好きじゃない、嫌いと言われても困惑します。 


 「紅茶が好きなのね」


 「うん」

 「フルダイブ型VRMMORPGからログアウトしたら死ぬかもしれない」

 「なんて状況になっても、紅茶が飲めるならとりあえずはいいよね」


 私には、よく分からない価値観ですが、小羽玖ちゃんがそれで良いというなら、

まぁ良いでしょう。


 小羽玖ちゃんは、実椿ちゃんを小脇に抱えたまま、器用に紅茶の準備をする。

 見事なものね。


 「実椿ちゃんを小脇に抱えたまま、器用に紅茶の準備をするのね」

 「すごいわ」

 「私は、アメリカンコーヒーが好きだけど」

 「実椿ちゃんを小脇に抱えたまま」

 「そんなに器用にコーヒーの準備はできないわ」


 思った事をそのまま言ってみました。


 「ふふん」

 「すごいよね、私」


 小羽玖ちゃんは自慢げです。

 喜んでくれているならよかったわ。


 「この宿屋まで実椿ちゃんを小脇に抱えてきた私より」

 「小羽玖ちゃんの方がよっぽど、実椿ちゃんを小脇に抱えなれてるようね」


 なんだか、そう見えるんです。


 「そうよねそうよね」

 「きっとそうだよ」

 「私は、実椿ちゃんを小脇に抱えなれてるのよ」

 「変態レズなんかよりよっぽどね」

 「ふふん」


 小羽玖ちゃんは勝ち誇っています。


 ぴろんっ。


 また、ぴろんっという効果音が聴こえてきました。


 【幼女を小脇に抱えなれている少女の好感度が上がりました】


 え、ここで好感度上がるんですか。

 これ、小羽玖ちゃんの誰に対する好感度が上がってるんですか。

 小羽玖ちゃんから私への好感度が上がるような事、私今しました?

 してませんよね。


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